Short 1
□誓いのキス
1ﾍﾟｰｼﾞ/4ﾍﾟｰｼﾞ
樹（ｲﾂｷ）×希（ﾉｿﾞﾑ）
『樹！すごいよ、みんなキラキラしてる』
そう言って俺の目の前ではしゃぐ希。
急に希が水族館に行きたいなんて言うからびっくりしたけど、来て良かった。
『ねぇ、あっちもいっぱいいる！！』
まるで水族館に初めて来た子どもみたいな希。
「そんなに慌てなくても魚は逃げないよ」
俺は、足早に進んではゆっくりと眺めてを繰り返す希を後ろから追いかける。
『樹…楽しくない…？』
俺が遅いからだろうか…急にそんなことを呟いて、俺を振り返った希。
希の瞳は涙をいっぱい溜めて、水槽の水が反射してキラキラしている。
俺が泣かせてるのに、不覚にもそんなところにドキッとさせられる。
そんな不純な気持ちを隠して希の目の前まで行き、優しく抱き寄せる。
「希と行くとこはどこでも楽しいよ。
ほら、一緒に歩こ？」
希に右手を差し出したら、希は人目がきになるのか、照れくさいのか、俺のジャケットの袖口をぎゅっと握った。
その可愛らしい仕草に思わず気持ちが高ぶりそうになって必死に抑えこむ。
家だったら確実に押し倒してる…。