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□love you?
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シュテルンビルト市民の誰もが認めるKOH――バーナビー・ブルックスJrと今期最も売れている女性シンガーとの密会のスクープは今、シュテルンビルト中の雑誌や新聞・テレビ・ラジオ…全てのメディアでその話題は持ちきりである。
低俗なゴシップ誌では『KOH密会!女性シンガーA宅へ?!』『KOHの助手席に女性シンガーAの姿!!!』などと有ること無いこと好き放題書かれている始末。
当分、しばらくは収拾がつきそうにも無いほどであった。

「いやー、バニーちゃんも大変だなー」

めずらしく自分より早く出勤していた虎徹はいつものごとく仕事に手を着けず、バーナビーの記事をパソコンでみていた。

「僕のせいです……僕が軽率な行動をとったせいで虎徹さんにまで迷惑をかけてしまって……本当に申し訳ないです」
「いや別に俺、なんの被害もねーし」

そう言うと虎徹はバーナビーの机上にあった今朝発売の雑誌を手に取りめくった。
バーナビーは、とある高級レストランで女性シンガーAと食事をしていたところをすっぱ抜かれたらしい。

「でも、さすが現役KOHだよなー、こんな綺麗な歌手と密会だなんてうっらやましーい!」
「からかわないでくださいよ
ほんとに、ただ、食事をしただけなんですって!車にも乗せてないんですよ?!」

虎徹は雑誌を読むのをやめて、ふーん、と聞いてるのか聞いてないのか分からないような返事をして立ち上がると、コーヒーをいれに行った。

「はいよ、バニーちゃん」
「ありがとうございます」

そう言って受け取ったコーヒーは、バーナビーの好み通りのミルクと砂糖が多めのものだった。

「でもよバニーちゃん、いつこんな美人さんと出会ったのー?つかお前、こーゆー個人的な食事とか断ってるって言ってなかったっけ?」
「この方とは以前、HEROTVの特番で初めて共演したんですよ。覚えてないですか?
サバサバした人でとても話しやすくて……彼女が悩んでることと、僕の悩みが似たようなもので話が合っちゃって。
それで、食事でもしながら…って言われて僕も、まぁいいかなって思って……。こんなことになると思ってませんでしたから……」

「顔出しヒーローはツラいなー。最初から顔出さなきゃこんなことになんなかったのにさー
しかも相談なんて、俺がいくらでも聞いてやるのにぃ〜」

「虎徹さんにはできない相談だったんですよ。
でも反省してます。最初から顔出さなきゃ良かった…ほんと申し訳ないです」
「謝んなくていーって!」

まぁどうにかなるだろ。そう言って虎徹はバーナビーの頭を撫でた。

「ちょっ、子供扱いしないでくださいっ」

虎徹の手元からゴシップ誌を取り上げてデスクの端にまとめて置いた。

「もう措置はとってあるんです。
一応彼女とも連絡をとって食事をしたことは事実ですが、その他は全てでまかせだということを所属事務所の方からいってもらうようにしてあります。
もちろん僕自身もアポロンメディアの方から報道系の各社に手配したので大丈夫です」
「でもさー?バニーちゃんが女の人褒めるとかあんまりないじゃん?ほんとになんもなかったのーん?」
「あぁ、大丈夫ですよ。彼女、恋人がいるんです。
今回の事をきっかけに結婚して公表するつもりみたいです」
「へー!じゃぁすぐにおさまるかなー」

まぁしばらくはお互いの家に行って呑んだり外呑みできねーなぁ。
そう言われてからその事に気づき、バーナビーは暗い顔を隠すように席を立った。



◎続きます。



 

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