L月小説
□片思い
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「竜崎、あのさ...」
「それでは15分程休憩にします。...まぁ誰かさんは元々捜査なんてしていませんでしたが。
ねぇ松田さん」
「えええ!なんで僕だけ!?」
話しかけようとした月の言葉を遮るように竜崎が言う
「りゅ・・・」
「あなたはいつもさぼっているじゃありませんか。」
「さぼってませんよ!?いつも竜崎のためにケーキとか買ってくるじゃないですか!!!」
「要するに只のパシリってことだな。」
「相沢さん酷っ(泣)」
「あのさ竜ざ...」
「そうでしたね。では5分以内にここに書いてあるもの全部買って来て下さい。時間厳守でお願いしますね。」
「え...あの、一番近いお店でも走って5分なんですけど...」
「竜崎ってば!!!」
さっきから自分の存在を無視するかのように松田さんと話をしている竜崎に焦れ、月は部屋中に響く声で竜崎を呼んだ。
「...何ですか?月くん。」
白々しくも、今気づきましたといわんばかりの竜崎に、月は胸が苦しくなるのを堪えて話を続けた。
「あ...あのさ。僕今日ケーキ作って来たんだ。その...竜崎に食べて欲しくて...」
頬を赤らめて恥じらう月に竜崎はキッパリと言い放った。
「要りません。」
「え...」
月は勿論、ここにいる捜査メンバーの全員が耳を疑った。
「竜崎、今何て...」
「要らないと言ったんです。ケーキなら松田さんに頼みましたから。」
「えぇと...」
まさかの竜崎の台詞に固まった松田。
すると
「竜崎貴様!折角月がお前のために作って来たのにその態度はなんだ!!礼の一つでも言ったらどうなんだ!!!」
今まで黙って見ていた総一郎が、竜崎の月に対する余りの態度にとうとうキレた。
・・・が
「いいんだ父さん。僕が勝手にしたことだから...余計な事して悪かったよ。じゃあ僕暫く隣の部屋で休んでるから...。」
自分が作ったケーキを持って月はトボトボと部屋を出て行った。
最近、いつもこうなのだ。竜崎はあからさまに月に冷たく当たっている。
「竜崎〜、今のはいくら何でも言い過ぎですよぉ。」
「うるさい松田。あなたはさっさとケーキを買って来なさい。」
「えっ、でも・・・」
月くんの作ったケーキはいいんですか?・・・とオロオロする松田
「あのな竜崎...お前が月の事をキラだと疑っているのは分かってる。・・・だからってあそこまで月にツラく当たる事はないだろう?」
怒鳴りたいのをぐっと堪えて総一郎はできるだけ冷静に竜崎に言った。
「ーーーそういう訳では、ないのですが...。」
途端、竜崎の顔がふと曇った。
「「「竜崎・・?」」」
「何でもありません。___ちょっと様子を見てきますので皆さんはどうぞ休んでて下さい。」
急に元気のなくなった竜崎が気になりながらも、みんなは竜崎の出て行ったドアを静かに見ていた___