L月小説
□変態 one Day
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「お・・・お前なんでここに!?」
*****
大学が終わり、いつも通り真っ直ぐ家に帰った月。
(監視カメラからも解放されたし、これで気兼ねなく犯罪者を裁けるぞ。)
などと、今夜の計画をいろいろ考えているうちに家に辿り着いた。
「ただいまー。・・・あれ?誰もいないみたいだ。買い物にでも行ったのかな?」
母・幸子と妹の靴の代わりに踵を踏み潰したボロボロのスニーカーが一足置いてあった。
ーーーこの靴は見覚えがあった。確か、入学式らへんで・・・
(まさかな。ははっ)
一瞬嫌な予感が頭をよぎったが、気のせいだと自分に言い聞かせて部屋のドアを開けた。
すると
「お帰りなさい、月くん。」
「ぅをわあぁぁぁっ!」
思いがけない人物からのお出迎えに驚きを隠せず腹の底から叫んでしまった
そして、冒頭のセリフである。
いやな予感ほどよく当たるもので、自分の学習机の椅子に、入学式のとき、自分がLだと名乗った男―流河早樹が何故かいつもの三角座りで座っていた。
「お前、どこから入ってきたんだよ?」
「普通に玄関からですよ。月くんのお母さんに‘月くんの恋人です'と言ったら、快く2人きりにして下さいました。」
誰もいないのはお前のせいかっ!
母さんも少しは疑えよ!!!どうみても怪しいだろ、この隈!!!
月はため息を一つつき、気を取り直して流河に向き直った。
「...で?一体何しに来たんだ。」
「嫌ですね。恋人の家に来るのに理由がいるんですか?」
・・・誰ト誰ガ恋人デスカ?
ツッコミどころが満載の流河の言葉に軽く目眩がしたが、こいつに常識云々を言ったところで通じないのは目に見えている 。
月はいっそ清々しく開き直る事にした。
「ふぅ...まあいいや。折角来たんだからコーヒーくらいは出すよ。」
「ありがとうございます、月くん。」
パタン
月が部屋を出て行った後、男が不敵な笑みをこぼしたことは、近くで見ていたリュークしか知らない。