08/14の日記

10:34
平行移動
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溢れかえる感情を伝える術を知らない男と
そんな男の心情を知る術を持たない男

それぞれの思いはすれ違い、行き違い、お互いがお互いに誤解を生じさせた


2人の距離を形で表すなら、__平行線

決して交わるコトのないそれは、誤解を解かない限り無限に真っ直ぐと突き進んでいく






「起きて…たんですか……?」

「寝てるなんて僕がいつ言ったんだよ」


涙を乱暴に拭って竜崎を睨みつけた



「竜崎のバカ。変態」

「…スミマセン」

「僕のコト好きなら好きって最初っからそう言えばいいだろ。
てっきり嫌われたのかと思ったじゃないか。」

「嫌いな人間相手にあんな事気色悪くてできませんよ」

「威張るな馬鹿」

「スミマセン…」



竜崎を責め立てて気が済んだのか、重たい体を起こして、ポスンと竜崎に凭れかかった



「月くん……?何を…」


自分に恥辱を強いた人間に寄りかかる意味が分からず竜崎は戸惑った



「今僕がお前に何を望んでいるのか
推理してみろよ名探偵」


そう言うなり顔を沈めた


少し思案して、ぎこちない動作で月を抱き締め頭を撫でてやると目を細めて竜崎の胸板に額を擦りつけた




「―――竜崎、さっきのもっかい言って…」



どうしてそんな事をねだるのか、
わからない事が多すぎて竜崎の頭は疑問符だらけだ




「……好きです」

「もう一回」

「…好きです」

「もう一回」

「好きです…、月くんが好きなんです」


「僕も」

「…え?」

「だからっ!僕も竜崎が好きなんだってば!そのくらい察しろ馬鹿」



未だ竜崎の体に顔を沈めている月の顔はほんのり赤く、月が今言った事の意味を理解した竜崎の顔は真っ赤っか



「・・・嘘……」

「これでも僕すっごく傷ついたんだからな。当事者なら責任取って慰めろ。そしてあとで殴らせろ」

「…ほどほどにお願いします……」



できるだけこのあと起こる事を考えずに、月を力の限り抱擁して何度も好きだと囁いた

それに応えるかのように月も竜崎に縋りつき、竜崎のシャツをギュウッと握りしめた__





平行移動を繰り返していた2つの感情は
いつの間にか方向を変えてぶつかり合い、
交わって一つに溶かさせた・・・―――









♪チャンチャン♪
こんなん全然ショートじゃねーよぅ!まさか最初はこんなに長くなるとは思ってなかったんですよね……

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