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□風紀を乱すその肌に
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「おかえりナミさ〜ん!!」
タイミングが悪いと
心の中で渋い顔をしながらもいつも通りの笑顔で手早く料理を運ぶサンジの苦心を知りもしないで
その要因である目の前の男に気がついたナミは
気まぐれにご機嫌である。
「あらお兄さん、またサンジくんの料理食べに来たの?」
「ま、まぁな…それよりあんた、足を出しすぎだ!何度言えばわかる!」
何度も言っているのは自分がここに何度も来ているからなのだか…
だけど来るたびに足や胸元をさらけ出したナミの格好が気になるものだから
どうしても隠せと言ってしまうのだ。
「あのね…お兄さん今自分がどういう格好してるかおわかり?私がハレンチ娘なら、お兄さんは露出狂よ」
半裸の自分をまじまじと見て
ミニスカートに細身のTシャツというナミをもう一度見る。
だけどやはり、
「…男と女とでは違うだろ」
一味の男共はなんとも思わないのだろうか
それとも慣れているのか
はたまた目の保養などとあえて突っ込まずにいるのか…
何をどう考えていようとも面白くはないのだから
「相変わらず細かい」と呆れられても
俺はしつこく注意をし続けるのだろうとため息をついた。
「あ、ねぇちょうど良かった。お兄さんここにいるってことは午後は休み?」
「あぁそうだが…」
「じゃあちょっと付き合ってくれない?行きたいところがあるの」
その場にいた全員がナミの言葉と次のパウリーの反応に注目を示す。
ただあまりに突然の誘いに思考が停止した男に先手を打ったのは
二人のこれ以上の進展を許すまじとする恋の奴隷だった。
「ナ〜ミさーんっ!!お買い物ですか?お散歩ですか?そういうことならこのサンジが地の果て海の果てまでもお供しますよ〜!」
「サンジくんじゃ駄目なの」
申し出をぴしゃりと断られ唖然とするサンジは
その様子を内心面白がって傍観するロビンやゾロが笑いを堪えていることには気づくまい。
「え…な、なんで!?俺午後から暇だよ?ナミさんとデートできるならむしろ空けるし!!」
「ウソっ…そげキングから大きなカジノがあるって聞いて、そこに行きたいのよ。お兄さんならよく知ってるでしょ?」
「え!?ナミそげキングに会ったのか!?いいなぁ!おれも会いてぇよ」
「そうだよナミさん!そげキングに案内させればいい。なんなら俺が場所だけ聞いて…」
「忙しいのよそげキングも。ほら、私たちといると何かと…ね?」
「そうかー。やっぱりヒーローは忙しいんだなー」
残念がるチョッパーの横で
余計なことだけを吹き込みやがってと神出鬼没なヒーローに舌打ちをするサンジを余所に
この島で最も活気のあるカジノまでの地図を思い浮かべたパウリーは
平らげた皿をシンクに運び、府に落ちないという顔に睨まれながら扉に手をかけた。
「一度社宅に戻ってシャワーを浴びてくる。準備ができたら外で待ってろ」