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□この病の治し方を知ってるか
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「ナミさん…あの…」


「………」



躊躇なくカウンターキッチンに入ってきたナミさんは俺の目の前でいい感じに出来上がりつつあるスープの入った鍋に近づき
コンロの火をカチッと消したかと思うと

さっきと変わらぬ鋭い視線を突き刺す。



「あのさ、俺…」


何かした?



そう出かかった言葉は顔面にナミさんの手のひらが近づいてきたことによって呑み込まれた。



言い訳など聞きたくないということだろうか?

それにしてもいきなり手をあげられるほどのことをした覚えが本当にない。

もはやナミさんにぶたれるということよりも、その理由を1ミリも思い出せないことのほうが

自分にとっては問題のように思われた。

重くなる空気に意を決してぐっと歯を喰い縛る。


男サンジ、自分がしでかしてしまった罪を償うため
ナミさんの気が晴れるのであればどんな愛の鞭も受け入れる。





「………」


「………」




さぁぶってくれ!
と構えてみても一向にやってこない痛みに不思議に思って恐る恐る片目を開けると

思ったよりも近くにあったナミさんの顔は眉をひそめたまま少し上をいっていて

その先では彼女の手が俺の額に押し当てられていることに気がついた。





「やっぱり……」


「……へ?」



この展開に唖然としながらも冷たい額の感触に半ば心地よくなってきたころ

その手を引っ込め腕組みをして
眉を逆ハの字からハの字に変えたナミさんはため息をひとつ、何を思ったかダイニングの出口に向かった。


とりあえずぶたれなかったことに安堵しつつその行動の理由を言わずに行くのかと引き止めようと声をかけたが
それはナミさんのよく通る声によって見事にかき消された。





「チョッパー!!」



ち、チョッパー??

今の流れで何故チョッパー?



ダイニングにやってきてからのナミさんの不可思議な言動に首を傾げつつ

そんな自由奔放な君も好きだと思っていると甲板からかナミさんの呼び掛けにチョッパーが返事を返す。




「何だナミー?昼飯かー?」


「病人がいるのー!見てやってくれない?」


「病人!!?い、医者〜っ!!」



っておれだ!
と突っ込むチョッパーの声を耳に入れつつ傾げた首をさらに傾けているとナミさんにぐいぐい手を引かれてダイニングの奥の保健室に押し込まれた。



「え!?ナミさん、俺まだ昼飯の準備が……」


「いいから座ってて。私の言うことが聞けないの?」


「あ、はい…」



なんだか今日はまた一段とSだなーと満更でもなくベッドに座るとさっきの“病人”という言葉が思い出された。

あれ?もしかしなくてもこの展開…




「ナミ!病人って……

サンジ!?」
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