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□愛に飢えた子羊
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「ナミ……」
「ん……エー…ス、」
程よく熟れた小さな唇に自分のそれを重ねる。
蜜柑の木に隠れて何度も唾液を絡め、吸いとり、舌をなぶる。
逃がさないとばかりに腰と背中に腕を回してしっかりと抱きしめ、またキスをする。
「…も、だめ…見られちゃう…」
はぁっという悩ましげな吐息を吐いて顔を火照らせながら俺の身体を押し返そうとするナミ。
どうして見られたらだめなんだ?誰に見られることを恐れてる?
聞きたいことは山ほどあって、問い詰めてやりたい気持ちだってある。でも、
「……見られちまったら、そんときはそんときさ……なぁナミ…おれはもう、……」
“我慢できねェ--…・”
わざと熱い息を耳元にかけるとぴくりと身体を震わせて細い声を上げるナミの太ももに手を伸ばす。
ふたりの関係は、気づかなかったことにする。
問いただすもなにも、真相は明らかだ。
ナミが何も言ってこない以上、おれが取り乱さなければこの関係も終わることはないはずだ。ひとまずは………。
「はぁ……だめ…だったらっ、エース…っ!」
「あー…そうだな、ここじゃさすがに無理か。風呂?倉庫か?」
言いながらもスカートの中に手を入れて下着の上から尻を撫でる。
ツルツルとした生地に包まれた触り心地の良いそれにいやらしく手を這わせる。
「だ、め…どこに誰が来るか、わかんな…っ」
「……そうか、そんじゃあここでも同じだな」
どこに誰が来ることを想像してるんだ、言ってみろ。
ゾロに俺たちの関係がバレることを嫌がってるんだろ?
憤りで熱くなる頭は情欲と混雑して、
口に出して言えない怒りの分だけ俺の身体がナミを求める。
「やっ…!だめだってば…ね、エース…だめ……」
「んー……焦らされんのも嫌いじゃねェけど、俺はもう限界なんだ、ナミ…」
尻を撫でる左手はそのままに、上着の中、Tシャツの裾から侵入させた右手をさらさらな素肌の上で上下させる。
なかなか会いに来られないんだから
ふたりの時間をもっと堪能したい。
今までは話をしたり、抱きしめたり、優しいキスをするだけでも幸せだったし、
ナミはおれのものなんだって実感できた。
だけどもしかしたら
ゾロとナミが、まさか…と思いだして
その疑念が確信に変わった今、そんな優越感や幸福感なんて吹き飛んで
ナミをもっと、もっと自分のものにしなければという焦りだけがひたすらに募る。
抱きしめるだけじゃ足りない。
優しいキスをするだけじゃ足りない。
もっと奪うような情熱的なキスがしたい。
肌を密着させて、触って、乱して、鳴かせて、
セックスだってしたい。
そうすれば少しはナミに、近づけるだろう。
そうすれば少しはナミが、おれのものでいてくれる。
「も…ぅ………、だめだってば…っ!!」
「…………」
「エース………だめよ。クルーがいるこんなところで………軽はずみな行動は……」
俺の腕を引き剥がして目を逸らすナミに唇が震える。
軽はずみな行動?
誰が、どっちが……
おれがいるのにクルーと関係持ってる女の言葉か?
あ----……・
ちがうか。
浮気相手はおれの方……か。