novels2

□後編
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盗み返す。



おまえのハートごと。














「泥棒猫を盗め」














side - Nami













ポフッという音がしそうなほど柔らかいものにぶつかった。




目の前を覆うオレンジに一応謝ろうと顔を上げる。


なんせここはグランドライン前半の海を渡ってきたルーキーたちが集まるシャボンディ諸島。

いざこざを起こすのは船長ひとりで十分だ。


「ごめんなさ……っ?!」


ところがぶつかった人物の顔を見る前にぎゅうっと身体を包み込まれた。



そしてなんだか覚えのある、もさもさふわふわなこの感触……。




「ナミー!あいたかったーッ!!」


「えっ?!えぇっ!?」


「……あなたって顔が広いのね。熊さんともお友達だなんて」


感心したように後ろで呟くロビンの「熊さん」という言葉に反応する。

喋る熊なんて、ひとり……いや一頭しか私は知らない。



「う……、嘘、……ベポ……?」


「おれのこと覚えててくれたの?嬉しい!ねぇまた猫じゃらしで一緒に遊ぼうよ!」


「な、なん、なんで、」



こんなところに!?

あ、あいつもルーキーだから……

って、まさか私があのネコだったって気づいてる!?



「……猫じゃらしで遊んだの?熊さんと」

「ち、違うのロビン!人違い!人違いよ!」

「何言ってるのナミ、キャプテンやみんなだってナミにあいたがってるんだよ!どうしていなくなったりしたの?おれ寂しかったんだから…」

「ベポ……」


しゅんと耳を垂れるベポにキュンとなる。


でも……


「キャプテン……?」


面白いもの見つけたわって顔のお姉さまに背筋が凍る。

マズイ。

あの後サンジくんとチョッパーに制裁を食らわせて口止めしたから他のクルーは私がネコになっていたことなんて知らないのだ。

ロビンのS 心にこれ以上火をつけたら私は確実に羞恥で死ぬ。








「何やってるベポ」



ロビンの興味を逸らす方法を考えていたらベポ越しにさらに聞き覚えのある声。

ビクリっと身体をかたくする。



「キャプテン!ナミだよ!ナミがいたんだ!ほらぁ!!」


ベポは店の入口に立っていた私の身体をぐっと前に押し出す。


ちょ……!鬼ッ!熊の皮を被った無邪気な鬼!





「………………」


「………ひ、人違い……です」



目を見開いて固まったローが何か言う前にそう言って、アハハと笑ってロビンに声をかけ足の向きを変えた。




「……そう何度も逃げられてたまるか」

「……っ!」


ところが早足で立ち去ろうとした瞬間、左手首を強い力で掴まれた。



「勝手に首輪外しやがって」

「は、放して!」


そしてロビンの前でそれ以上は言うな!


冷たいローの手を思いきり振り払って逃げるが、

数歩駆け出したところで左手首の違和感に気がついた。



リングが…………ない………




「確かおまえは、これを置いては逃げられねェんだったよなァ……? 」


「……っ!」


振り返ると人差し指と親指でくるくるとリングを弄ぶロー。

その動きに合わせて悪魔みたいな微笑に光が反射する。
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