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□この道を真っ直ぐ
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「…………あら、奇遇ね」
「………………あァ」
「この道を真っ直ぐ」
side - zoro
たまたま通りかかった森の中で、たまたま女と出くわした。
その女はたまたま同じ船に乗り合わせている仲間で
たまたまおれが惚れている女。
「道に迷ったの?」
「……船に戻ろうと思って海岸を目指してたら、ここに着いた」
うっすらとした微笑みをおれに向け、「少し待って」と言い残したきり、苔の生えた遺跡を熱心に見つめ出したロビン。
おれは言われた通り突っ立ったまま、辺りを見渡す。
草や木が鬱蒼と生い茂る、どこからどう見ても森だ。
しかし偶然ロビンに出会えた上、船までの道を教えてくれるという雰囲気。
間違った道順を教えやがった街の商人におれは密かに感謝した。
「さ、行きましょうか」
「終わったのか?」
「えぇ、とりあえず一旦街に戻りましょう」
「あァ……」
長身の後ろ姿に続いて歩く。
木漏れ日の中で漆黒の髪がゆらゆら揺れる。
すらりとした手足で器用に蔦や枝をかけわけ進む。
時折鼻筋の通った横顔が見え隠れする。
全ての所作が凛として気高く美しい。
そんな姿に気がつけばいつも見とれている。
「あなた、ウソップと行動していたのではないの?」
森の出口まで来たところで、ロビンはおれの横に並んで歩きだした。
確かにおれは今朝、同じ時間に船を降りたウソップと散歩がてら行動を共にしていたのだが……
「海軍に追われて、途中ではぐれた」
「海軍……大丈夫かしら……」
「ウソップのことだ。なんとか逃げてんだろ」
「広場の処刑台で打ち首になっていなければいいけど。嘘つきの刑で」
「……海賊の罪より嘘つきの方が罪が重いってか?あいつの場合」
「ノーランドの話を思い出したのよ」
真顔で物騒なことを言い出すロビンは相変わらず何を考えているのかさっぱりわからないが、
わからなければわからないほど、その頭で何を思い、その心で何を感じているのか知りたいと思ってしまう。
そうしてまた、感情の読み取りにくい表情でおれを見たロビンは唐突に突拍子もないことを言い出した。