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□この道を真っ直ぐ
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side - Robin





「ここからは、あなたに着いていくわ」



「は…………?」




悪そうな顔であんぐり口を開けたゾロは私を見て固まった。



「ここまでは、私が案内した。だからここからは、あなたが私を船まで連れていって。ついでに方向音痴を矯正しましょう?」


「おまえが教えてくれるんじゃねェのか?」


「あら、そんなこと一言も言ってないわ?」


「………………」



私のこんな屁理屈にも、「確かにな」と呟いて真面目に船への帰り方を思案しだした彼。


腕組みをして街の方を見つめる真摯で律儀で真っ直ぐな、


その横顔が、とても好き。




「人に聞いても構わないわよ?」


「あァ、街まで来りゃあ造作ねェ。この道を真っ直ぐだ」



その通り。この森は海岸と対角で結ばれる位置にある。

街を真っ直ぐ突っ切ればあっという間に船に着いてしまうわ。




ところがあなたの場合、問題は道順ではないというところがやっかいなの。










「……あれ?兄ちゃんたちさっきもここを通らなかったかい?海岸は向こうだって教えただろう」


「………………」




歩き始めて1時間、予想を上回る迷子ぶりになんだか私の方は楽しくなってきてしまって。

もっとハンディをつけた方が良かったかしら?

なんて悠長に首を傾げる。




「降参?」


「…………あっちの道を真っ直ぐ行けば着く」



どうやら降参する気はない様子。

でもそれは私にとっても都合がいいわ。

異色の私たちがふたりで街を歩くなんて機会、めったにないもの。


あなたにとっては家路を急ぐ道でも、私にとっては立派なデートコースになる。






それからまたしばらく歩いていると街の名物広場に出た。





「……広場ね。ウソップの残骸がないか確かめなくていいの?」


「おまえなァ………………」




口数が少ない私たち。

口をつけばそんなくだらない話題しか出ないし、彼だってポツリポツリとしか話しかけてこないけれど、

沈黙さえも優しいものとして穏やかに受け入れられる不思議な感覚。






「……そろそろ夕飯の時間だわ」


「……腹減ったならひとりで帰っても……」



私には決して道を聞こうとしないどころか先に帰そうとする生真面目さはもはや愚直だけれど、


正しく生きようとすればするほど、人間というものは愚かで滑稽に見えるもの。

だけど筋の通った正しい生き方を貫く気高さは、なにものにも代えがたく素敵なものだわ。





「いいえ……あそこで食べましょう?サンジには悪いけど、私たちの分はルフィが食べてくれるわ」


近くに見えた俗っぽい酒場を指差すとゾロは仏教面のまま私を見た。



「……あそこでいいのか?」

「えぇ、飲みたい気分なの。別の店が良かったかしら?」

「いや……」



私がゾロ好みの店を選択したのが意外だったのか、

それとももっと小洒落た店の方が良いのではと気を使ってくれているのか

ゾロはちょっぴり不思議そうな顔をしながらも、店に向かって歩き出す私の後ろに続いた。
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