過去拍手御礼novels

□入室許可
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「あ、マルコ寝てる……」



宴の人ごみの中に見つけたマルコは酒瓶を片手に船の縁に背中を預けていた。


珍しい無防備な寝顔にくすりと微笑んで甲板の隅に山積みされた毛布を取りに行く。



「ナミー!新しい酒きたぞー!」


「うーん!今行くわー!」



途中エースの声に応えつつ、無造作に転がる酔っぱらいたちを上手に避けてマルコのもとに戻る。


無垢な表情とだらしなく投げ出された長い手足は普段のマルコからは想像できないほどに油断しきっている。



「……ふふ、かわいい」


「誰がかわいいって?」


「!!!」


うわ!!起きてた!!!


返ってきた返事に心底驚いていると一気に身体を引き込まれ、後ろから抱きしめられた。



「人の寝顔見て笑うとは、いい趣味してんじゃねェか……」

「あはは、お……起きてた?」

「今起きたんだよい……」


ん〜…っと鼻に抜ける声を出しながら、広げた毛布で私の身体を前から包みこんだマルコを振り返る。


「……ていうかちょっと!恥ずかしい!」


「誰も気にしてねェよい」


広い甲板は飲めや歌えのドンチャン騒ぎ。

確かに何をしていても許される雰囲気だ……けれど、



「もうっ!私は抱き枕じゃないの…!寝るなら部屋に戻ればいいじゃない!」


「……うるせェよい。大人しくおれに抱かれてろい……」



耳元で繰り出される寝起きの気だるげな声が、悩ましい。

マルコが息をする度に引き締まった胸板が背中に押し付けられて、私の身体は一気に熱を持った。



「……マ、マルコ、酔ってるの…?」


「ん?あー……酔ってる、かもねい……」


私の肩に完全に頭を任せてふらふらと体重をかけながらぎゅっと腕の力を強めたマルコからは

普段はしないアルコールの匂いが感じ取れた。


「……風邪ひくわよ?やっぱり部屋に戻ったら?」


「………………」


心配してそう言うも、はぁぁ…っと息を吐いたマルコはもぞもぞと毛布の中で手を動かし、

ごく自然に私の胸を服の上から揉み始めたではないか。


「えっ、ちょ、ちょっと…!!」


「……なんだよい……文句あんのかい……」


がっちりと身体全体を包み込みやわやわと胸の上を撫でる手に、

ほろ酔いだった私の意識は一気に覚醒した。


「や…っ!マルコっ、何考えてんの!?」


「なにっておめェ……やらしいことに決まってんだろい……」


「な……っ!!」



何を堂々と……!

めちゃくちゃ酔ってる…!!


稀に見るオープンなスケベぶりに危険を感じて這い回る手を掴んで阻止を試みるが、

逆に両手首を捕まえられてお腹の上で押さえ込まれてしまっては、なす術無し。


「じっとしてろい……気づかれるぞ……」


「っ、や、マルコ!」


「ほら、あんまり動くと毛布がずり落ちちまう……見られてもいいのかよい……?」


どこまで酒にのまれていて、どこまでが正気なのか

わざとらしく耳の横で囁くや否や服を胸の上までたくし上げたマルコは

今度はじっくり味わうように、素肌に指を這わせてきた。


「……やっ、ぁ……も、やめてよ…みんないるのに……」


「だったらされるがまま大人しく……おれの指で感じてろい……」


すっ…とブラの間から差し込まれた手が敏感な部分を探り当て、思わずぴくりと身体を反応させる。


「んっ、……やっ、やだ、マルコ……!」


「……やなわけねェだろい、こんなに反応させてるくせに……」


「ちがっ……ぁ、んんっ…!」


指の腹で周りをなぞり、的確に先端をつかれてぴくぴくと肩を揺らす私の背に密着したまま、

マルコは楽しそうに口元を吊り上げる。


「勃ってんのは寒いからかい?……それとももう気持ちよくなっちまったかい?」


「っ、あっ…やだ、やめてっ、」


「……やめて…?違ェだろい……」


ブラを一気に引き上げて露になった胸を包みながら、指でしつこく突起を擦る。

抵抗しようにも動くと毛布が落ちてしまいそうで、目の前に広がる陽気な宴を前に私は

真っ赤になってしまった顔をたまらず伏せた。


「んっ、……なんで、マルコ……」


胸を撫でる手はそのままにマルコはしばらく沈黙し、呟いた。




「…………おめェ、エースに触られすぎなんだよい…」


「え、エース……?あっ…!」


エースが……なに……?


キュッと強めに先端をつままれては同時に思考も奪われて、言葉の意味を考える余裕すらない。


「……べたべたしすぎだって言ってんだよい……見せつけてェのか、おれに……」

「え……?ちが、…あ、んんっ!」


両手を解放した代わりに後ろから覆い被さるようにして遠慮なく体重をかけてきたマルコは

私の肩に顔を埋め、両方の胸をゆっくりと撫でながら切なく言った。


「違うなら……エースより、おれのことが好きだと言ってみろい…」


マルコがそんな要求をしてくるのは初めてで、

普段言われることはあっても自分からは言うことのなかった言葉を

望み通り口にする。



「…好きよ………」


「足りねェよい……」


「……好き……マルコが好き……」


「もっとだ……」


「……マルコ以外はいらないわ。……好きなの、ほんとうに……」


「………………」



逞しい腕も、優しい眼差しも、みんなを引っ張る男らしさも、賢く思慮深いところも、私の名前を呼ぶ声も


全部全部……



「大好きよ……」


「……っ、ナミ……」



はぁッ…と息を吐いたマルコは荒々しく膨らみを揉むと片手を腹に這わせてきた。


「っ!待って…!マルコ…!!」


「……ナミ……足開けよい……」


「や、ちょっとマルコ酔いすぎ!!ここ甲板なのよ!?」


「あァ、しっかり毛布握ってろい……」


「っ!!」


簡単に下着の中に滑り込んできた大きな手はすぐさま敏感な部分を刺激する。

まるで全神経をそこに集中させるように、ねっとりと指先を這わせて、マルコは私の肩に声を落とした。



「……やだとか言ってたのはどこのどいつだい……すげェとろとろになってるぞい……」


「…っ!だ、だってマルコが…!」


「おれが…?おめェのイイとこばっかりつくからかい?」



そうだ、いつだって私を翻弄してくるその指が、私は好きなのだ。


一番敏感な部分に指を立てられ毛布の中でガクガクと足を震わせると

甘噛みされた耳に熱いマルコの息づかいを感じ、もはや抵抗する力も周りを気にする余裕も失せた。


「ふ……あっ、んぁっ、」


「そんなに喘いだらっ、気づかれるぞい……それとも聞かせてやるかい?……おめェのエロい声……」


「っ、……は、ぁ……ぅぅっ」


必死で自分の膝に顔を伏せ声を噛み殺すもせわしなく這う指に身体は素直に脈を打つ。

胸と下を同時に攻めながら私の耳元で「ん…」とか「はぁ」とか時折嘆息するマルコにも、最初のような余裕は見られない。

ぼんやりする……

周りの喧騒を遠くに感じて脳も身体もぐしゃぐしゃに溶け出した。

このまま欲望の海に溺れてしまうかと思われたまさにそのとき、

突然近くに感じた声に度肝を抜かれた。



「こんなとこで何してんだー?」


「……っ!!エースっ!!」


上から覗き込んでくる瞳から隠れるように咄嗟に毛布を首まで引っ張る。

こんなところで妄りなことをするなの意味なのか、純粋に何をしているのか訊ねているのか、

今の言葉の雰囲気ではわからなかった。


「こいつが寒いって言うんで、あたためてんだよい」


「なんだそっかー、俯いてたから具合でも悪いのかと思っちまった」


「あ、だ、大丈夫……」


にこにこと私たちの前にしゃがんだエースにドクドクと激しく動悸する。

マルコの指はぬるぬると全体をゆっくりと撫で回し、止まる気配がない。


「そんなに寒ィのか?」

「う……うん、まぁね……」

「なんだよー、それならそんなんに頼るより、おれの身体の方があったまれるぜ?」


そんなんとはマルコのことか毛布のことか、

ニヤリと笑って人差し指を燃やしたエースは私の目の前でくるりとそれを回してみせた。


「あ、あはは、あんたの身体じゃあったかい通り越して燃えそ………ッ!!」


「……どうした?」


コリッと鋭い刺激が全身を駆け抜けて、息を詰める。

突然マルコが指を突き立てて執拗に攻めてきたのだ。



「……っ、なんでも、ないわ……」

「そうか?……あ、あっちに酒いっぱいあんだけど、行かねェか?……マルコもどうだ?」


マルコは指の動きは止めずに反対の手で傍にあった瓶を掴んで見せた。


「間に合ってるよい。こいつもここで少し休ませる……な?ナミ…」

「あっ、……う、うん……」

「……そっか、んじゃ、気が向いたらこいよ」


マルコは「あァ」と短く応えるとぐびっと一口酒を喉に流し込み、

瓶によって冷えた手をそのまま毛布の中に戻して胸の飾りをつまむ。


「っ!!……ん……っ」

「おめェも飲み過ぎるんじゃねェぞいエース」

「おう!じゃああとでな!」



エースが去っていっても止むことのないマルコの手に私は激しく息を切らせて毛布にまとわりついた。


「も、……マルコっ…ありえない……っ」

「おめェだって興奮してんだろい……濡れすぎだぞい」

「あぁっ…!!」


ぬるりと簡単に2本の指をくわえ込んでしまうほどに私の下半身はいやしく濡れていて

肩に唇を寄せながら中を掻き回されると身体は素直に快感を求めて腰を動かし始めた。


「おめェっ、やらしい……ひくついてる……」

「あっ……はぁっ、マルコっ、もう…っ!」

「……っ、しっかり毛布噛んどけよい……イかせてやる……」


ぐっと奥まで差し込まれた指にたまらず前のめりになって毛布の端を、噛む。

周りの音も外気との温度差もマルコの息も、全部が性的な興奮に繋がって

激しく中を揺さぶられながら私はとうとうマルコの腕の中で達した。



「ふ……ン〜っ、ん、んっ、……〜〜っ!!!」


「………………」


「……はっ、…………あ、はぁ……」



快感の余韻に浸りながら脱力して肩で息をする私にぴたりと密着する大きな身体。

背中にはマルコの激しい心音が伝わり、鼓膜に響くのは私と同じくらいに荒くなったマルコの息。



「……はァ……ナミ……」

「ん…………」

「挿れてェ……」

「っ、」



掠れた吐息に混ざってうわ言のように漏らされた言葉と

私の腰にすっかり固くなったものをぐいぐいと押し付けるマルコに今さら赤面する。



「……バックが、いい………」

「……〜っ!!」

「奥まで突きてェ……」

「ちょ、」

「おめェの、身体中しゃぶりてェ……」

「っ、マ、」

「耳元で鳴かせてやりてェ…」

「マルコっ」

「今すぐおめェの中に入って、一緒にきもちよくなりてェよい……」

「っ!!」


ぎゅうっと強く私を抱きしめたマルコはそのままの勢いで毛布ごと私の身体を横抱きにした。




「おめェが悪いんだよい……かわいくて、生意気だから……」


「………………」




その表情は熱に浮かされ甘く優しく、瞳は欲を孕ませうっすら濡れて……


絶句してしまうほどに、色っぽかった。




「ん…?どこ行くんだマルコー?」



私を抱えて船室に向かうマルコに気がついたエースが声をかけてくる。


もはやうっとりとその胸にしがみついていた私だが、


顔だけをエースの方に向け、妖艶に口の端を持ち上げ放たれた彼の言葉の意味に気づいたとき


何度目になるかもわからない顔の熱と身体の悶えを感じて、


大きな腕の中で、仔猫みたいにただただ身を震わせた。







「ここよりせまくて、あたたけェところだよい」







そこに入ることを許される、ただひとり。










内側から愛してやる











「なァんだ、もう部屋戻んのかー?」
「あァ、こいつもおれも“限界”なんだよい」
「っ!!」
「そっかァ、そんなに寒ィかー。じゃあちゃんとあったかくして寝ろよ?また明日なー!」
「あァ、おやすみ」
「…〜っ」
(ま、寝かせてやらねェけどな)
(あ、熱くて寝られないわよ…!)





END

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