過去拍手御礼novels3
□7日目の誘惑
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世の中には、むずかしいことがたくさんある。
したいときにする。どうしてそれが駄目なのか、おれにはちっともわからない。
せっかく触れることを許されたのに、あんまりナミがないがしろにするものだから、
ところ構わず手を伸ばしていたら、「仲間の前でベタベタするな!」と10日間の“キンヨク”を言い渡された。
キンヨクってうまいのか?そう訊ねると、サンジは腹を抱えてそれは可笑しそうに意味を教えてくれた。
世界でいちばん嫌いな「ガマン」というやつを、10日もしないといけないんだって。それを聞いて、おれが絶句したのは言うまでもない。
そんなこんな。はじめのうちは指折り数えていたのだけれど、指をふたつ折るころには気が遠くなってきて、数えるのをやめた。
それはそうだ。だって、今までは飯の回数と同じくらい出していて、それも半分以上はナミに手伝ってもらっていた。
食うのもヤるのも同じ“欲”なんだ。同じくらいしたくなって当然だろ。至極まっとうだと思った論理にナミは呆れ顔で肩をすくませて見せたっけ。
何日経ったかわからないころ、部屋で枕にしがみきながらうわ言のようにナミの名を呟くおれを見かねたゾロが、
「溜めてた方が、戦闘中に力出しやすいんだぜ?」と謎のフォローを入れてきた。なるほど、確かに出さねェとなんというか、踏ん張りがきく気がする。
今思えばゾロは「だからわめくな阿呆」と言いたげな目でおれを見ていた。
だってわめきたくもなる。自分でするのもだめなんだ。そういうことに目覚めて間もない男にとって、何よりの拷問だということを、さすがのナミはよく知っていた。
それなのに、また今日も生地の少ない服から胸元と太ももをチラチラさせて、釘付けにされるおれをせせら笑っている。
そして、「どうしたの?顔色が悪いわよ?」とかなんとか白々しい感じで近づいて、肩や首に触れてくる。
その手の感触だけでピリリと全身に痺れがもたらされ、くらくらと目眩がした。
愉しそうに三日月をつくる唇を見つめ、「食いたい」とか、「食わせたい」とか無限のループに突入しているおれを、ナミはあっさり見捨ててどこかへ消えた。
まるで黒猫みたいだな。不吉な匂いがしてたまらないのに、なぜか後を追わずにはいられない。
しばしぐじぐじと逡巡して、結局誘われるようにその匂いをたどっていった。
ーー−
行き着いた先は風呂場だった。
シャワー上がりでタオルにくるまれているナミの姿を目にした瞬間、とうとうおれのストッパーは弾け切った。
ナミが驚いて固まっているのをいいことに、餌に飛び付く犬さながらその身体にしがみつく。
あとはもう、手や口が勝手にその肌を求めて動き回る。いきなり押さえつけられて、反射的にナミが悲鳴を上げた。
「きゃあぁぁぁ…っ!ちょっとなんなのよ!!?」
「ナミっ、…おれしてェ!もういいだろ?すげェガマンしたんだ!」
「はぁ!?なに言ってんのよ!まだ一週間しか経ってないじゃない!どきなさい!!」
一週間。あれから一週間しか経っていないらしい。もう100回くらいは無限ループに落ちたはずなのに、まさかそれだけしか時間が進んでいないだなんて。
おれは初めて知ったその事実に、愕然とした。
「えぇぇっ!!あと3日もガマンすんのか!?」
「初めて知ったみたいな顔してんじゃないわよ!」
「そそそ、そんなに待ったら、お、おれ爆発しちまうぞ…!!」
「なっ…!?なんかその表現やめてよ…!」
「なァ…!口でもだめか!?手でもしてくれねェのか!?なァ!」
「駄目なものは駄目!我慢しなさいよそれくらい!」
「だってよ!本当なんだ!今にも出ちまいそうなんだよ!ほら…!!」
この苦しみをわかってほしくて、元に戻りそうにない逸物をナミの手に握らせた。
一瞬で頬を赤くすると、ナミは慌てておれの手を振り払い、おまけにぐーでパンチした。
「バカっ!!自分でどうにかしなさい!!」
「自分でしていいのか!?」
「…………あんたね…」
必死ですがりつくおれに冷たい視線が降り注ぐ。だって、おれがキンヨク中だと知って挑発してきたのはナミの方だ。
そもそも、いつも甘い匂いを嗅がせては誘惑して、おれの欲を煽っているのはナミで、
ナミがフツーの女なら、おれだってこんな大変なことにはならないのに。
ナミが悪い。全部ナミが。ナミがおれをおかしくさせる。
「っ、…………ナミ…」
何を言ったって口では負かされてしまいそうで助けを求めるような呟きを漏らすと、ナミは「わかったわよ。勝手にしなさい」と降参のため息をついた。
そうなればおれの判断は早かった。すぐさまタオルを引き剥がそうとすると、ナミはギョッとしたように抗った。
「ちょ…!ルフィ!私は“自分でするなら”いいって言ったの!」
「わかってる……だから、ナミのハダカ見てするんだおれは」
「はぁ!?あんたね…!」
「見てェんだ!いいだろ!?ナミのを見れば、すぐイける……」
「…………っ、」
切羽詰まってタオルを引っ張ると、ナミはまるで捨て犬を見るような目をおれに向けた。
ナミは、動物と子供に弱いんだ。こっちにそんなつもりはないけれど、ときどきそういう目でおれを見ている。だからこのときも、頑なに手放そうとしなかったタオルを、観念したかのように手放した。
「あっ、…」と間の抜けた声が溢れる。鎖骨の下で綺麗な丸を描いている胸、その中心で健気に染まる蕾。
ナミが息をする度に生々しく揺れるそれが、おれの腹の奥を一気にむず痒くさせる。
咄嗟に取り出した自分のモノに手をかけ、きつく握った。素知らぬ顔で胸に伸ばした手は、「だめよ」とあっさり払われる。ちぇ。
ナミは壁に背中を預け、気まずそうにおれから目をそらす。おれは払われた手を壁に置き、上からナミを見下ろしてもう片方の手で上下を繰り返す。
そのうちふたり無言になって、荒くなるおれの息が乾きかけのナミの髪を揺らす。
もっとよく見ようと背を丸めて胸に近づく。水滴のいくつかついた肌に咲く、鮮やかな先端が目を引きつける。
はっ、とかかった吐息にナミがびくりと身体を強ばらせた。空気に晒された先がツンと尖っておれを誘う。
ともすれば噛みつくこともできる距離まで迫る。どんなに近くで見ても恐ろしく整っている肉体の端々。
ナミに触れ、女に目覚めるまで気にしたことなんてなかったけれど、たぶん、こんなに綺麗な身体をしているやつは他にいない。
そんなことを頭に浮かばせていると、自身を扱く手にも力が入る。それが、勢い余ってナミの太ももに触れた瞬間、微かな声が耳を掠めた。
見上げるとぎゅっと目を閉じて首筋まで熱を灯したナミが、汗に涙に濡れたまま震えていて、おれのなけなしの理性は疾風にさらわれた。
衝動的に、きつく閉じられた唇に食らいつく。既に膨れ上がって湿っているそれを、たまらずナミの腹にぐりぐりと押し付ける。
すべすべの腹の下で大事な部分を隠している茂みに根元が触れる。あァ、このままこの中に、おれを入れてくれないかなあ。
ナミの中はあたたかくて、挿れただけで全身の毛が逆立つような衝撃がはしる。ときどききゅっと締め付ける内側も、猫が鳴くような甘声も、おれの野生を激しく叩く。
胸、腹、顔、脚、手首、舌、心臓、そのすべてを貪り尽くしたい。何度でも。
…………今すぐに。
「……ーー出るッ!!」
はっ、と離れた唇が、乾きもしないうちにそう呟いた。我慢なんてとうに忘れた手のひらが、柔らかな乳の肉をなで回す。
先走ったおれの液で汚れた腹に、これ以上ないほど硬化したモノを擦り付け続ける。最後の刺激を求めて一心に右手を揺すった。
「る、ルフィっ、」
「は、…ナミッ、かけて、いいか…?」
「だ、だめっ、」
あァもうかれこれ“キンヨク”を言い渡された7日前から、とっくに限界なんて越えているのに。
この期に及んでナミはまだおれの望みを拒み続ける。
もういっそ聞こえなかったふりをして、思い切り吐き出してしまおうか。あとで怒られることを含めても、断然そっちの方がいい気がする。よし、そうしよう。
ぎりっと奥歯を噛み締めた後、荒すぎて震えているようにも聞こえる声で告げた。
「…………もう、出すぞ…」
「っ、まって!だめっ…!」
切羽詰まったようなナミの声に目を見開く。なんだよ!こっちは爆発寸前なんだ!
「……っ、だめだめ言うな!!もう我慢できねェっつってんだろ!!」
「そうじゃなくてっ……!!」
「っ、」
視界に入れたナミの表情には、すっかり色気が差していた。
あまりの艶っぽさに一瞬怯んだおれの手を、はち切れそうなモノから振り払うと、ナミは代わりに自分の細い指をあてがった。
そうしてぐいと引き寄せられた挙げ句耳元に落ちた次の言葉に、おれは背中の奥をぞくりと鳴らす。
「だめっ、……ひとりで、イかないで……」
導かれた入口の潤みと熱い圧迫を感じながら、不思議な征服感と満足感に陥った。
どっちが誘われたんだっけ。
7日目の誘惑
「なぁサンジ、“カイキン”ってなんだ?」
「あ?解禁ってのはそりゃあ……あァ?!」
END