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□狭間を行く少年
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「ナミー」
「……」
「ナーミーっ!」
「………」
「ナー「あぁうっさいわね!何度も呼ばなくても聞こえてるわよ!!」
甲板で読んでいた新聞を勢いよく閉じて声の主を睨む。
大した用事でもないくせに
何かと私を呼びつける船長。
「聞こえてるなら返事くらいしろよなぁ」
「おいナミー、ルフィがすっげー変な魚釣ったんだぞ!見てみろよ!」
ほらね、ウソップと釣りしてて珍しい魚が釣れたってだけじゃない。
だいたいそんなの私じゃなくても
その変で寝てるマリモや
その魚を調理するサンジくんや
雑学なんかを教えてくれるロビンにでも見せればいいじゃない。
なんでいつもこう、お子様の相手をさせられるのは私なの?
「あーそう、良かったわねー」
と抑揚のない返事をすると
何か言いたそうな複雑な表情でこちらを見つめるルフィと目が合った。
前までは私が感想を言うまでしつこくむくれていたのに
最近のルフィはこういう複雑な表情を浮かべることが多い。
その顔がなんだか
何を考えてるのかわからないときがあって
自分の知らないあいつが少し大人に見えたりして仕方ない。
調子狂うわ。
私はサンジくんに飲み物をもらうためキッチンに入った。