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□たったひとつの成就論
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同時に宣言して睨み合った二人の男は
己の恋愛成就論について語り出すのだった。
「おいおいナミさんはてめぇみてぇなマリモ野郎にゃ靡かないぜ。
彼女に相応しいのは優しく紳士なこの俺だ」
「あ?鼻の下伸ばしてるだけのエロコックとは違ぇんだよ。
あいつを可愛がってやれるのは俺だけだ」
酔いも助けて饒舌になっている二人を煽るのは
話題を作り出した鼻の男。
「それじゃあよう、ゾロとサンジはどうやってナミを落とす気だ?」
とまぁ、こんな調子で冒頭の会話に戻るわけなのだが
盛り上がる3人と1匹を横目に
手を止めず夜食を食べ続けるこの船の船長が、渦中の魔女の恋人だということを知っている年長組は気が気でない。
「おい麦わら、てめぇの女を口説き落とす方法を密談してる野郎共を放っておいて、大丈夫なのか?」
「ルフィさんここはひとつ、ビシッと焼きを入れるなんてのはいかがでしょう?
私と違って焼かれる肌のあるあのお二人に。ヨホホホ」
変態と骨の言葉を耳に入れながらも
あーでもないこーでもないと
自分の女を落とす方法を熱弁する目の前の二人を一瞥し
その状況に似つかわしくない晴れやかな表情で答えた。
「ナミのことなら大丈夫だぞ?あいつは俺にゾッコンだからな!」
にししと笑って再び食べ物に手をつける呑気な男に
思うことは皆それぞれであった。
「がはははっ!言うなぁ麦わらァ!スーパーな自信だな!」
「ご馳走さまです。私もう、お腹いっぱい…ってお腹ないんですけど!」
「ルフィなんかすげーな!…ゾッコンってなんだ?」
「まぁつまりだな、ナミはルフィに首ったけってことだ!」
「首だけ!??ナミは首だけなのか!??」
(クソ野郎が…余裕ぶってっと本当に俺が持ってくぞ)
(敵に不足はねぇみてぇだな。まぁそっちの方がやりがいがあるってもんだぜ)