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□ガラスの靴を愛さない
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「ありきたりな結末なんてまっぴらごめんだわ」
あいつがいつかそう言っていたのを思い出した。
「ガラスの靴を愛さない」
「ちょっとこれ見て!!」
食料調達のため立ち寄った島で買い出しに出ていたクルーが戻ると
そのうちの一人が目を輝かせながらチラシを広げた。
「んナミさんおかえりーっ!!」
丁度昼食の用意を終わらせたコックができたてのパスタをチラシの横に置きながらナミを迎える。
「んー?何々?フェニエ王国カリフ宮殿舞踏会…?」
「なんだそれ」
ウソップとルフィが覗き込んだそれには上品な文字で詳細が記されていた。
「国をあげての祝賀…建国の宴が宮殿で催されるのはわかるけど、国民を無償で招待するなんて、随分と裕福な国なのね」
「そうなのよロビン!ここ見て!参加条件はドレスコードだけ!!お酒も料理もタダよタダ!!」
それぞれ昼食の席につき、チラシを回し読みし始める。
「島にゃ王候貴族ばっかりだったぜ。年に一度のスーパーな祭りに、街中浮き足だってる」
買い出しの荷物をコックが差し出したコーラと交換しながらフランキーが言った。
「食い放題か!!?よし行こう!今すぐ行こうっ!!」
「待て待てルフィ、開催は明日の夜だ。それによぉナミ、一味全員賞金首のおれらが行ったらまずいんじゃねェのか?」
「それは平気よ」
魔女の微笑みを浮かべた俺の恋人はいつになく上機嫌だ。
「この島に海軍はいねェのさ。その代わり国のあちこちに護衛兵がいて、国民の安全はそいつらに守られてる。国全体が裕福だから、賞金首なんて危険なもんに興味のある奴はいやしねェ」
「街には手配書の1枚もなかったわ」
ルフィが食事に夢中になり始めたから
おれも自分の飯がなくならないうちにナミの隣に座った。