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□太陽を独り占め
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どこがと聞かれると困るが



ひとつ挙げるならば



そいつがいないと俺の1日が始まらないところ…



だろうか。







「太陽を独り占め」






暑い

眩しい

こりゃ焦げるな…。



「では失礼して」



でかい屋敷に隣接された野外プールの側のベンチで

うつ伏せになっている俺の恋人にサンオイルを塗る麦わら一味のコックは


この夏島の太陽にも負けないくらいに暑苦しくハートを飛ばしている。


「いやぁ〜、ナミさんのすべすべのお肌を堪能できるなんて、至福の極みだなー!」

「はいはい、いいからちゃっちゃっと塗っちゃって」


「おみ足の方はいかほどにぃ?」


「お願いするわ。あ、水着の紐ちゃんと直してからね」


「あいあいさーっ!」


たまたまルフィが助けた女が大富豪の娘だったとかで

俺ら一味はその屋敷に招待され、個人の所有物とは思えない
この大きなプールで午後を過ごしている。


「うっほー!この細い足首、しまったふくらはぎ、程よく肉のついた太もも…最高ー!!」


ナミの奴、俺が側で寝てんのに

そういう役をコックに任せやがって。



「サンジくん…どさくさに紛れてどこ触ってんの?」

「あ…いや、つい出来心で…」

「やめんか!!」

「ぎゃーっ!」


そのやりとりについ反応して片目を開けると

太ももと尻の間の際どいラインを撫でるコックが
ナミに殴られているところだった。



だぁーもう…!




「てめぇらさっきからうっるせぇんだよっ!!!」


思ったよりも大きな声が出て

驚いたふたつの顔が俺を見た。


「なんだマリモ、いたのか」

「ずっといるわ!ったくゆっくり昼寝もできやしねぇ…」


コックの顔がしたり顔になった気がした。


「てめぇ俺がナミさんのすべすべお肌を独り占めしてるからってイライラしてんじゃねぇよ」


なんだ?腹立つ。
何が独り占めだ。


「ふん、そいつの肌なんて隅から隅まで知り尽くしてるぜ。
てめぇがオイルを濡れないその水着の下までな」


「なんだとぉ!!??」

「やんのか!!??」



「いい加減にしろっ!!!」



ナミの鉄拳が俺らふたりに飛んできて顔を歪めた。



「ほんとにもう。うちの男共ときたら…」


ナミと目が合って…というより睨まれたのかもしれねぇが


それでもその、唇を尖らせた表情が

全くどうしようもねぇくらいにイイ女だ。
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