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□主治医の指示は絶対だ
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「…いやっ!やめ…っ」


首筋に舌が這う感触がして鳥肌がたつ。


逃げたいのに
頭がくらくらするし
押さえつけられて身動きがとれない。



「そっち押さえろ。大声出すんじゃねぇ」

「ん〜…っ!」


手で口を塞がれて息が苦しい。

身体中を触られて服にも手がかけられた。


「…!」


上のビキニを剥ぎ取られて露になった胸を
いくつもの目に舐められるように眺められる。


悔しい…


女ひとりじゃ手も足も出ないこういう相手を

あいつらは糸も簡単に倒していくのに…



頭に浮かぶのは


私を背にして敵に剣を振るうあいつの後ろ姿。


身体を襲う激しい愛も優しい痛みも

今のこの行為には微塵もなくて


涙が溢れないようにぎゅっと目をつぶると

愛しい人の名前を心の中で何度も呼んだ。




ゾロ……!




「うわっ!暴れるな!くそっ…」

「少しくらい痛め付けてもかまわん。生死を問わずの賞金首だからな」


ひとりの男が刃物を取り出したのが見えて

ぞっとして力一杯もがくとその刃が指先をかすめて

真っ赤な血が滴った。









「ベポ」



「アイアイキャプテン!」





「「うわーっ!!」」




次の瞬間には手足が解放され

周りを取り囲んでいた海兵たちが床や壁に叩き付けられていた。




「……え?」




自由になった腕で胸を隠して起き上がると誰かがこちらに近づいてきて


目の前に屈んで顔を覗きこまれた。




「キャプテンその子知ってるの!?」



私……こいつ知ってる。



「お前は確か…麦わら屋のとこの……」


元懸賞金4億4千万の王下七武海

私たちと同じ最悪の世代のスーパールーキー

ハートの海賊団船長…



名前は確か……




「トラファルガー……ロー」



表情ひとつ変えずに帽子を脱ぎ

着ていたパーカーを私に差し出す。



「ねぇねぇキャプテン誰!?その子誰!?」



白熊が…喋ってる…?


とにかく身体を隠したくて服に腕を通した。

立ち上がろうとするがふらついて壁にもたれかかる。


「…その手」


「え?」


「傷口を見せろ」


腕をとられて先程刃物で切られた指先を
眉間にシワを寄せて見られた。



「いてて…お前は七武海の…どういうつもりだ!?」


喋る白熊に蹴散らされた海兵が起き上がる。



「俺が何をしようと勝手だ。
政府と手は組んだが、指図される覚えはない」


「そいつは麦わらの一味だぞ!こっちに渡せ!」



帽子を白熊に預けて大きな剣に手をかけた。


「俺に命令するなと言ってるんだ。
この有り様を、あんたらの上司に報告されたいか?」


「うっ…!それは…」


そのとき辺りが白い煙に包まれて見覚えのある顔がふたつ現れた。




「てめぇらこんなところで何をやってる…」


「あなたは七武海!…それに、麦わらの一味の泥棒猫ですね!?」
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