novels

□患者の病が治ったら
1ページ/9ページ



よそ見をするんじゃねぇよ



お前の怪我を治せるのはあいつでも



お前の側にいてやれるのは俺だけだ









「患者の病が治ったら」









ナミが戻ってきて2日、


街に繰り出していたルフィがとうとう煙野郎に見つかって


俺たちは追われるように島を離れた。



ナミの体調を考えるともう少し停泊していたかったところだが
相手が悪い。





「小娘、ここはいいからそろそろ医務室に戻れ。
進路は俺が見ておく。風向きが変わったらすぐに知らせる」


「そう?じゃあよろしくねフランキー」


「おぅ!スーパー任せろ!」



クルーたちはナミを気遣い交代で進路確認をしたり

食事や身の回りの世話をしている。


そのためか歩くこともままならなかったナミだが、

今では一人で自由に行動できるまでに回復した。





「いやー、一時はどうなることかと思ったけどよ、ナミも体調戻ってきたみてぇだし良かったぜ」


空の食器を持って医務室から戻ってきたウソップが

ダイニングで食事中のクルーたちに笑顔を見せた。


「まだ完全じゃないけど、このぶんだと1週間もしないうちに元気になる。
あの医者の処置が良かったおかげだよ」

「あんのむっつり野郎か!ナミさんに堂々とキスしやがって…クソ許せん!」

「まぁまぁサンジさん、彼はナミさんの命の恩人です」

「船でナミさんに何してたかわかんねぇんだぞ!?ったく何が主治医だ。ただの変態野郎じゃねぇか」

「死の外科医とは聞いていたけど、本当に腕の良い医者だったのね、彼」

「またトラ男に助けられちまったなー、俺たち」




チョッパーの言葉に反応したのは俺もだ。

珍しくコックとも同意見。


なんせあんな痕を見せられたんだ。


この船に戻るとわかっていてわざとやったに違ぇねぇ…



あの不敵な笑み

余裕の表情

ナミを見る目

俺を挑発する態度




それだけならまだいい。

目を離したらすぐこれだ

今までだってナミを狙う男はたくさんいたし

そういう変態野郎に拐われたナミを何度となく取り返してきた。


ナミだって慣れていたし、寄ってくる男共を相手にしたことなんてなかった。





それなのに…






「ナミ、入るぞ」


「どうぞー」


医務室の扉を開けるとベッドで本を読んでいるところだった。



「だいぶ良いみてぇだな」


「えぇ、おかげさまで。みんなが大袈裟に看病してくれるから」


色の良くなった顔でにこっと笑顔を向けられた。


「あいつのおかげだろ?」


「…え?」


「あの不健康隈野郎」


「不健康隈野郎ってあんた…」



ナミの手から本を取り上げて

上半身だけベッドに乗り上げ口を塞いだ。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ