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□大嘘つきの唇に
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振り向いてくれなくてもいい。



俺だけのものになれなんて言わねぇ。



だからせめて





誰かのものにはならないでくれ。








「大嘘つきの唇に」









「キャンプ、キャンプ」


「キャンプファイヤー!」


「いや気が早ぇよ」





綺麗な浜辺のある無人島、
食料豊富で自然豊かなこの土地で

海水浴がしたい、
気兼ねなくキャンプがしたい
と誰からともなく言い出して


昼すぎから食料調達班、テント班に別れて行動している。





「おれー、冒険班が良かったなー」


「仕方ないでしょー?くじ引きで決まったんだから」


「ていうか冒険班じゃなくて食料調達班な」



ルフィ、ナミ、ウソップ、チョッパー、俺の5人が海岸から少し離れた森でテントを張っていると

不満そうに膨れた顔でルフィが駄々をこねる。


自分のしたいことは絶対にしたい

こいつの自由な性格は2年前と変わらない。





「ま、いっか。ナミとテント張るのも楽しいしー!」


「…なによそれ」


だが2年前よりも確実に男の顔になった分、俺にとっては少々達が悪い相手であることは間違いない。




最近のこいつの

したい



ナミと一緒に

がセットになっている。





「ナミ、これでいいか?」

「もう、ここはこうするのよ」

「あれ?こうか?」

「違うわよ。真面目にやんなさい!」



注意されても、にへらっと笑って手元ではなくナミを見るご機嫌な船長。


何をするにもナミと一緒、何をするにもまずナミを呼ぶ。


驚くほどわかりやすくて単純だ。


「ナミー、あっちの浜辺で遊ぼうぜ!」


「あんた水着持ってきてんの?」


「おれはいいよ、上だけ脱げば」


テント張りも終わって早くも遊び体制に入ったルフィが


ナミの名を呼ぶのは今日何度目だろう。


ウソップと何やら楽しそうにはしゃぎだしたルフィから視線をはずしたナミが、

木に寄りかかって座る俺を振り返った。


「あんたは行かないの?」


「俺はいい。チョッパーの調合の手伝い頼まれてっから」


「そ、頑張って」


と、その場でTシャツを脱ぎ出したナミに
下が水着だとわかっていてもドキっとしてしまう。


「……」


白いフリルの付いた可愛らしい水着で

普段のナミがあまり着ないようなデザインに思わず見とれてしまう。


その格好のまま

他の男と過ごすのか……




そう思うと溜め息がこぼれて
それに気付いたナミが不思議そうにこちらを見た。


「…なによ?」


「いや…お前…」


小首をかしげる姿は水着だからだろうか、破壊力抜群だ。



「お前それ…似合ってねぇから…服着てろよ」
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