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□予感
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予感はあった。




行く手を阻む海軍と
いくつかの海賊団との猛攻




放った落雷によって照らされた彼の瞳が


真っ直ぐ私を射抜いたとき




散り散りになっても必ず引き寄せられるという確信が



私にはあったのだ。











「予感」









存外驚きもしなかった。


あの島で散り散りになってしまったのは麦わらの一味で


それぞれの時を経て再集結した今、
新世界であなたに会うまで


そんな予感すらほとんど忘れていたというのに。












「………ねぇロビン、私帰ってくる船を間違えたのかしら?」

「ふふ、いいえきっと合ってるわ」


「お!ナミ、ロビン、お帰り!」



いつものサニー号、
いつもの甲板、
いつもの美味しい夕食の匂い、



だけど少しだけ帰りが遅くなった私たちを迎えてくれたのは

いつものクルーたち

…だけではなかった。




「お邪魔して…すいません」


「「既に弱気!??」」



白熊が喋っていることも

その熊に突っ込む揃いのツナギの男たちも


そして甲板の縁に寄りかかってあの時と同じ瞳を私に向ける彼にも


特別に違和感を感じたわけではなかった。




「彼、七武海のトラファルガー・ローね」


「おう!街でたまたま会ったから連れてきた。今日は宴だぞ〜!」




仮にも七武海のスーパールーキーを軽々しく船にあげて呑気に宴とはどういうことか。

船長に問いただしても返ってくる返事なんてわかってる。



こいつ、俺の命の恩人なんだ!



ルフィが信用を示すのだから悪い奴ではないのだろう。

もう始まってしまった宴に水をさすつもりもない。

荷物を甲板の隅に置きに行くと敵船の男たちと目があった。


「…なぁ、やっぱり可愛いよなぁ?」

「俺、シャボンディで見たときからファンなんだ」

「お前、話しかけて来いよ」

「お前が行けよ」



…なんだというのだろう、敵船に女を探しに来たわけじゃあるまい。


噂をされて悪い気はしないが、私に釣り合わないレベルの男、あいにく眼中にない。



「レディたち〜!お帰りーっ!遅かったから心配したんだよ?
おいコラてめぇら、お二人が麗しいからって色目つかったらぶっ殺すからな?」


「すいません…」


「「いや、お前は色目つかってねぇだろっ!」」


「ただいまサンジくん。なんか喉がかわいちゃった…お酒もらえないかしら?瓶でいいわ」


豪快なナミさんも好きだー!


などと叫んでキッチンに飛んでいくサンジくんを見送って


甲板の真ん中に大量に積まれた肉を

大いに食べるルフィの隣を陣取った。
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