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□船長だって恋をする
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全くもって心外だ。


おれだって




恋をするのに。









「船長だって恋をする」







全くもって不愉快だ。


ナミはおれのことなんてちっとも目に入らないふりをして

難しそうな本とにらめっこ。


名前を呼んでも完全無視。

あまりにも反応がないもんだから


少しだけちょっかいを出してみると…




「邪魔っ!」

「痛ってぇ!なんで殴んだよ!」

「ノリよ!」

「ノリか!」



こんな調子で容赦無く拳が飛んでくる。



最近は触ったり抱きついたりしても怒られる。



「女の子にはむやみに馴れ馴れしくしないこと」



って。







……つまんねぇ。



しょうがねぇからフランキーに頼んでびっくりプールを出してもらった。


こんな日は海水浴に限るよな。

ナミがいらいらしてんのもきっと暑ちぃせいだな。







「あ!それいいわねルフィ」



「ん?ナミかー?」






さっきまで俺を邪険にしていたくせに


船の手すりから顔を出して

浮き輪からだらしなく腕と足を投げ出す俺を見て


私も入れてとか言ってそのまま降りてきた。





「お前、服のままでいいのか?」


「えぇ、着替えるの面倒だし…上がったらすぐ洗うわ」



狭い仮設プールで無邪気に笑うナミを見ていたら、

今の今まで不機嫌だったはずのおれも

なんだかつられて笑ってしまった。




「んー、気持ちー!」

「……」



水で濡れたナミの髪から滴が滴って、思わず見とれていたら

不思議そうな顔で覗き込まれた。



「ルフィ…?わっ?!」





くりくりとした瞳があまりにも可愛くて

それをもっと近くで見てぇから

ナミの腕を引っ張って

華奢な身体を引き寄せた。
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