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□その微笑みはまさに極悪
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「静かにしねぇと、あいつら起きるぜ?」



抗議の眼差しを向ける私に向かってそいつは、



息を呑むほどの官能な笑みを浮かべた。












「その微笑みはまさに極悪」











「ん〜……」





寝付きが悪い。


なんだか息が苦しいし、身体が重い…



金縛りかしら?



きっとお昼にこころばあさんから魔の海の話を聞いたせいだわ…




曖昧な意識の中で薄目を開ける。



そこはガレーラカンパニーの仮設住居の隅っこ、目を閉じていたときと変わらない暗闇が広がっていた。



ルフィのいびきが聞こえるし

チョッパーが何やら寝言を呟いている。



新しい船ができるまで

そげキングを除く一味全員がこの一室で寝泊まりしているけど


ここが船の上じゃないってこと以外はいつもと変わらぬ、むしろ平和な日常…





…だけどこの唇の感触はなんだろう?



だんだん目も慣れてきて捉えた映像がじわじわ脳に送られて


今まさに自分が置かれている信じられない状況に叫びそうになった。




「〜っ!!?」



「おっ…と、声出すなよ。俺だ」




な……っ



「なにしてんのよあんた…!」


息苦しかったのは唇を塞がれていたせい。

あろうことか私のベッドに忍び込み、

既に身体に覆い被さっているゾロに息だけで言うと



ニヤリと笑ってさも当たり前のように返事が返ってきた。




「なにってまぁ……夜這い?」


「はぁっ!!?」


「わっ!バカ声でけぇよ!」



熱い手が弱い力で私の口を塞ぐ。


2、3度頷いてみせるとそっと息が楽になった。




「…ふざけてないでさっさと退けて!ルフィたちが起きたらどうすんのよ!?」


「そりゃ無理。
何日ヤってねぇと思ってる?もう我慢できねぇ」



「なっ……!」




まさかクルーたちが寝ているこの部屋で
何を始めようというのだろうか。


だけど光らせた眼光が鋭く私を射抜いて


本気なんだこの男

って固く身構えた。



「ほら、力抜けよ。優しくしてやっから」


「…っ」







信じらんない……




信じらんない信じらんない信じらんない!!!
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