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□挑発的な眼差し
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「ねぇチョッパー、あんた気づいてた?」


「うん…薬品に混ざってなんか知ってる匂いがすると思ったんだよなぁ…」


「だったら早く言いなさいよっ!」


「い゛っ、痛ってぇ〜!!」










「挑発的な眼差し」









麦わらの一味にトラブルを呼び込むのは決まって船長だ。



それはうちのクルーの誰に聞いてもそう答えるに違いない。



だけど私はこのとき初めて、

望まれないその役目が

ついに私とチョッパーに回ってきたのかもしれない



そう思った。








「……ん?」




薬品を手にしたその男の鋭い瞳がこちらを捉えて足がすくんだ。





「あっ…や、ヤバイ、気づかれた?」


「えーっ!?逃げようよナミ!」


「そ、そうね…そーっと、そーっとよ……」



危ない匂いからはとりあえず逃げておく。


それはウソップを含む私たち弱小トリオの十八番。



チョッパーとふたり、冷や汗をたらしながら抜き足差し足で扉に向かっていたところ


気配もなく後ろから肩を掴まれて心臓が一度大きく脈を打った。





「おいあんた」


「ひゃっ!」


「あ!ナミっ!」




弾かれたように振り返ると大袈裟に驚く私に驚いたのか

その男の口は言葉途中で止まり、戸惑いの表情を浮かべているようだ。




「な……っ、なんでしょう…?」



大袈裟に驚くのも、怯えるのも無理はないのだ。



「あんた、麦わら屋のとこのクルーか?」



この男、ルーキーの中でも一目置かれ
残忍で知られるうえに政府公認の同業者。

到底私たちに敵う相手ではない。




「そっ、そうですがなにか…?
私たち、買い物してただけなので、敵意はありません!ね、チョッパー!??」

「お、おぅ!戦う気なんてこれっぽっちもねぇぞ!」



医療品店の外まで後ずさってびびりまくる私たちとの距離を縮め

呆れたようにため息をつくその顔は絵に描いたような不機嫌さ。





「あんたらの船長から預かり物をしている」


「わー!ごめんなさい!……って、
え…?ルフィから?」


「ベポ」


「アイアイってあれ?キャプテン外にいたのー?」



いつもの喋る白熊を手招きする七武海に
拍子抜けしてチョッパーと顔を見合わせた。



「あれー?麦わらのクルー?」


「あ!その帽子っ!」

「すいません…」


「「いや、何もしてねぇのに罪悪感でいっぱいかよ!!」」


後ろから出てきたツナギの男たちに突っ込まれる白熊の頭には


見まごうことのない、我らが海賊団のマーク。


「ルフィの麦わら帽子だ!…なんで白熊が?」





とそのとき
通りの向こうから大きな声と共に勢いよく腕がのびてきた。



「あっ!おれの帽子ーっ!!」
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