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□挑発的な眼差し
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「よかった〜!こんなとこにあったのかぁ、おれの帽子!
お…?ナミとチョッパー!」


「ったくてめぇは毎度毎度…大切ならしっかり持ってろ。
ナミさ〜ん!運命がふたりを引き寄せたんだね!」



「ルフィ…」

「それに、サンジ…」


ぽかんとした顔になる私たちをよそに、上機嫌なふたり。


なんとなく状況が飲み込めてきたわ…



「あれ?トラ男じゃねぇか!」


「「いや気づくの遅っ!」」


「なんだー、お前が拾ってくれたのか?ありがとな!」


「…大切なものだと言っていたからな」


「お前いい奴だなー」


「ちょっと待って、つまりこの状況って…」


「ストップ!ナミさん、ルーキーふたりと賞金首がこんだけいちゃ目立つ。
場所を変えよう」


「そうね、可愛い私がこんなところにいたらすぐ海軍に目をつけられちゃうわ」


「え?そっち!?」


「自覚してるナミさんも好きだー!!」




近くの酒場でうちのクルーたちが一杯やっているというので
とりあえずそっちに合流することとなった。


移動中に聞いた話によると


ルフィとサンジくんが海軍に追われているところを、
偶然出くわした七武海の彼がうまく逃がしたのだとか。

そのときに帽子を落として探していたらしい。




「それで、トラさんが拾っていたと…」

「そういうことだ!いやーよかったよかった!」


「ナミさん、ドリンク持ってきたよ」


サンジくんからドリンクを受け取り、

隣の席に浅く座って背もたれに肘を投げ出している男を見た。



「なーんだ…やっぱりトラブルの元凶はいつでも船長なのね」


「ん?なんか言ったかナミ?」


「こっちの話よ」


「そうか?あ、肉ー!おれにもよこせウソップ!」


「だーっ!そっちにあんだろ勝手に食えよ!」



ルフィがウソップたちのところに飛んで行き、

サンジくんは私と同じものをロビンのところへ届けに行く。



「…ひどい言い様だな。トラブルに巻き込まれたのは俺たちの方だ」


酒を片手に横目をこちらに向けてニヤリと笑うその男は

なんとも若く、不健全な青年に見える。


「ふふ、そうよね。ごめんなさい?
でもあんたくらいの海賊にあんな怖い顔で見られたら、誰だって危険を感じるわよ」


「俺は無駄な争いはしない」


「あら、気が合いそうねトラさん」


すると細い眉をしかとひそめて
なんとも気にくわないという声色になった。



「その呼び方は決定なのか?」


「お気に召さないかしら?」


「あぁ。…ローでいい」


「そう?じゃあ…ロー、私はナミよ。
乾杯しましょ?」



グラスを差し出し、にっこり笑いかけると

瓶の底の角をコツンと合わせて不気味に笑った。
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