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□後編
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「おい、狸寝入りはよせ」



「……」



あーなんとなく


こうなるだろうと思ってた。












「仮船長の命令」














ご飯を食べてお風呂に入ってベポたちとだらだら過ごして

部屋に戻る時間になって少し焦り始めた。


お昼寝をしてしまったせいでまったく眠気が襲ってこない。

いつも通り机に向かって本を読むローを尻目にとりあえずベッドに入って目を閉じること約1時間…


背表紙がパタンと閉じられて電気が消されて心臓が鳴り始めて眠るどころかいよいよ目が冴えてしまった。





「3秒以内に目を開けないと服を脱がす」


馬乗りになられてそれでも寝たふりをしていると糸も簡単に見破られて
恐ろしいことを言うものだから速攻で目を開けた。




「ね…寝るからどいて…くだ…さ…ぃ」



「抱きたい。…いいよな?」




噛み合ってない!

そう言おうとした口はゆっくり近づいてきたローの唇によって塞がれる。


囁くように優しく伺う口調が私の心を拓いていく。


命令なら突っ返せるのに
そんな目で見つめられてとろけるような笑みを浮かべられたら強気な私がどこかへ行ってしまう。



「ん…、ふ」


「……」


ひとしきり口内を侵されて無言で首筋や鎖骨に吸い付かれる。

唇と肌が離れるときのちゅっちゅっという音と私の小さい声だけが響く。



「あ……やっ」


「……」


そのうちにツナギの前を器用に開けたローが
はだけた胸を下着の上から堪能するようにゆっくり撫でる。

耳を舐めていた唇はゆっくり下ってきて肩紐をおろして露になった胸の先端に吸い付いて
両手はそれを煽るかのように地肌を滑る。



「あァっ、はぁ…」


「……」



ローが時折うっとりするように息をつくのがわかる。
その仕草に私の身体がますます熱を帯びていやらしくなっていく。



あぁペンギンに


船長よりも早く寝ろって言われていたのに……








「……」


「……?」



急に動きを止めたローに不機嫌そうな困ったような顔を向けられて困惑する。




「今…何考えてた?」


「……え?」


「他の男のこと考えてただろ?」



一船の船長は読心術もできるものなのか。

あまりに驚きすぎて無反応になってしまった私はそれだけで肯定と取るに容易かったであろう。




「……今日は寝ろ」



「……」






「他の男を見てるお前を抱くのは…辛い」





顔を背けて体重をかけていた身体を軽々どかして部屋を出て行ったローは



朝になっても戻ることはなかった。
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