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□Heat!
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「真っ直ぐなのはルフィと同じね…」



「ん?なんか言ったか?」



呆れたように呟いた独り言に

指でつまみ上げた赤身のハムをまさに今
口に入れようと斜め上を向いていたルフィが目だけでこちらを見て言った。




「似た者兄弟ってことよ」



もぐもぐ口を動かしながら

そうかー?

と言うルフィをくすりと笑って

腕の中の冷たい瓶の栓を開けると
まるでそれを待っていたかのようなタイミングで真上から降りてきた太い腕が垂直に奪っていった。



「ちょっと!人のお酒取らないでよ!」



「うるせぇ。好みが同じなんだからしょうがねぇだろ」



隣にどかりと胡座をかいて一口分が消費された好物を取り返しにかかる。




「それ私のキープよ!」


「誰もやらねぇなんて言ってねぇだろ。ちょっとくらい飲ませろ」


「あんたの場合ちょっとじゃ済まないでしょうが!」


「お前の方こそほっときゃ全部飲みあさるじゃねぇか!」



瓶の細い口の部分を片手で握るゾロに対抗して底の太い部分を両手で掴んで引っ張る。



さっきまで騒がしくしていた向かいの青年たちの声がいつの間にか聞こえなくなり
いつもの私たちの言い合いだけがやけに響いて聞こえるではないかと気がついたとき

大人しくなった客人にふいに向けた視線が捉えたのは

私とゾロの間目掛けて飛んでくるオレンジ色の炎だった。





「きゃっ!!?」


「どわっ??!」



海賊ライフで鍛えた瞬発力と反射神経がなければ今頃焼き蜜柑にでもなっていたかもしれない。

のけ反った二人の間にぼーうっと舞い上がったフランベみたいな炎は一瞬にして消え去った。







「悪ぃが剣士さん、

そいつの隣は俺んだ」





真っ直ぐこちらに向けた拳の関節から沸き立つ炎をすっと消して
顎をひいて口元を吊り上げる堂々とした出で立ちは

かの有名な白ひげ海賊団二番隊隊長、火拳の通り名に相応しい。




「危ねぇだろうがっ!!」


「焦げるとこだったじゃない!!」


「だからメリー号を燃やすなよ!!」


「マリモはともかくナミさんに当たったらどうすんだよ!!」

「え!?ゾロはいいのか!?」


「焦げ臭いわ」


「アハハハ!お前ぇら面白ぇなぁ!!」



笑い事か!!

とみんなに突っ込まれても目尻に涙を浮かべてお腹を抱えて笑い転げるルフィを睨む。


「ルフィ!てめえの兄貴だろうが!どうにかしろ!」


サンジくんの言葉に数名が頷いて船長に注目が集まった。



「止める必要なんてねぇよー。だいたい言ったところで止まる奴でもねぇって、エースは!」




刺すような視線を気にする風でもなく能天気に放たれたその言葉に

エースは逆に眉をひそめることになる。



「随分と余裕じゃねぇかルフィ」
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