ハナイロ物語<BROTHERS CONFLICT>

□愛を知るまで 5
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右「…柳真奈美…ですか…」

雅「?右京、知ってるの?」




右京は何かを思い出すように、彼女の名前を呟く。




右「ええ、僕の記憶が正しければ。一時期とても弁護士界で非常に有名になった案件です。」

雅「有名?」

要「俺も聞いた事あるよ。柳って確か、結構有名なパソコン会社の社長でしょ?」

右「あぁ。」

雅「あぁ、僕もそこの会社のパソコン使ってる……って………え?」

右「その真奈美さんは、柳社長の一人娘ですね。」

雅「……」

要「わお。雅兄びっくりしてるよ(笑)まぁ、社長令嬢の看病今までしてたなんて、ビックリだよね。」

右「いえ、少し違います。」

雅「え?」




右京の言葉の意味がわからなかった。

要もわからなかったのか、訝しげに顔をしかめる。




要「どうゆうこと?」

右「…一年前、会社の社長が変わりました。」

要「あぁ、引退とか?もしくは降格とか?」

右「いえ…














亡くなったんです。」




僕は耳を疑った。


“亡くなった”


その言葉は、僕たち三人の心に響いただろう。

なんて言っても、僕たちの父がなくなっているのだ。




右「一年前の五月、G.W.。事件が起こりました。とある夫婦がトラックとの衝突事故で亡くなられました。」

要「それが真奈美ちゃんのお父さんとお母さんってこと?」

右「ええ。その時、お二人は38歳でした。まだお若いのに…」

雅「そっか…」

右「その時、柳さんの弁護をしたのが私です。遺書や他にも…私が担当していました。顔を見たことはないですが、娘さんがいることも知っていました。遺書にも彼女のことが書いてあったので。『娘を妹夫婦に預けたい』。それが遺書の内容でした。彼女には祖父母もいなかったので、妥当であるとは思います。しかし…」

雅「その妹に問題があった。」




僕の急な発言に目を見開いた右京は、その通りだと言わんばかりに目を伏せた。




右「はい。彼女らは非常に金に貪欲な方々でした。私と話をするときも、絶対と言っていいほど遺産相続の話ばかりでした。『娘を預かるのだから、それなりの金があるのだろう』と。そして、何よりも気になるのが一つ…」

雅「他にも、何かあるのかい?」

右「……。」

要「京兄?」




僕は胸騒ぎがした。

これから聞く言葉を、僕は後悔することになる。

いや、僕の馬鹿さ加減を、恨むことになった。






右「何度も、暴力沙汰で訴えられているんです」
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