ハナイロ物語<BROTHERS CONFLICT>

□愛を知るまで 2
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「晴れたね。」

絵「本当だね。天気予報だと雨って言ってたんだけど…」

侑「いいじゃねぇか。体育潰れなかったんだから。」




本日の一限目は体育。

50mを走り続けてタイムを伸ばすことが目的。

10秒代をきれなかった人は、きるまで走らされる。

まぁ、倒れない程度に。




絵「朝日奈くんはよくても、私たちは微妙な心境なの。ね?」

「でも、しょうがないし…」

絵「まぁ、授業だしね…」

「第一、体育が嫌いな私がいけないんだと思うから。」

侑「柳、運動できねぇよな。」

絵「ちょ、朝日奈くん!」

侑「ん?…あ!」

「いいよ。本当のこと、だし…」



本当に私は運動が嫌いだ。

だって出来ないものは出来ない。

もともと、走るのも遅い、筋肉もない、体力もない、ないない尽くし。

今さら、好きになる理由も意味もないと思うくらい、嫌い…というか苦手だ。

…いや、それよりも、だ。

さっきから地球が回っているように感じる。

いや、回っているのは当たり前だけど…

私ごと回っている気がする。

着替えの時も、絵麻さんに言われなかったら、上の服が裏返しだったことにも気付かなかったと思う。

結論

さっきから頭痛が悪化している。

このまま何事も起きなければいいけど…




「次、朝日奈ぁ!」

侑「お、俺か!ちょっくら走ってくるぜ!」

絵「朝日奈くん、頑張ってね。」

侑「な!お、お前に言われなくたって頑張るよ!!」




そう言って、男子の体育担当の先生に駆け寄って行った。




「つぎ、柳さん。」

絵「あ、真奈美ちゃん。呼ばれたよ。」

「あ、うん。」

絵「いってらっしゃい。頑張ってね!」

「行ってきます。」




私もまた、もうろうとした意識のまま、女子の体育担当の先生に駆け寄った。
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