ハナイロ物語<BROTHERS CONFLICT>

□愛を知るまで 3
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目が覚めた。

起きて初めの感想。

重い。

お腹の方を頑張って見ると、猫が私の上で体を丸めて眠っている。

最初は降りてもらおうと考えたが、気持ちよさそうに眠る姿を見ると、そんな考えもなくなった。

窓の外を見ると、明るい。

明るいとは言っても、太陽の光ではない。

ほのかな光…月の光。

夜。

私の心は穏やかだった。

あれから私はどうしたのだろう。

あれからどれくらい眠ったのだろう。

ふと右を見ると、一度は外した点滴が再度装着されていた。

そして…




「…誰?」




白衣を着た人が、部屋に置いてある椅子の上で眠っていた。

どこかで、一度だけ見たことがある気がする。

思い出そうとするけど、だんだんどうでもよくなってくる。

この人はお医者さん。

きっと私を診察してくれた人なのだろう。

…あれ?

でも、なんで私の部屋に?

考えていると、無償に喉が渇いてきた。

水を飲みに起き上がる。

それに反応してか、猫が起きてしまった。




「ごめん、起こしたね…」

「にゃあ」

「私、あれからどうなったの?」

?「…ん〜?」




私が猫とじゃれていると、お医者さんが起きた。




?「あ、起きたんだ。おはよう。って、もう夜か。」

「……」

?「気分はどう?大丈夫??君、栄養失調と貧血、発熱が同時に発症してたんだ。よく今まで動けたね。」

「なー」

?「この子もね、君が心配でここまでついて来たんだ。君の猫?」

「…はい。」

?「そっかぁ。この子ね、よくここに遊びに来てくれてるんだ。いい子だね。」

「そう、なんですか…」




とても、話し方が優しい人。

性格もとても誠実そうだ。

見た感じ、猫も懐いているようなので、安心できる人に違いはない。

名前は、なんて言うんだろう…




「あの、お名前は…」

雅「え?あぁ、僕?僕は『朝日奈雅臣』。この病院の小児科の担当医。いやぁ、君が目の前で急に倒れたときはびっくりしたけど、意識が戻ってよかったよ。」

「え?」




いま、『朝日奈』と聞こえた。

『朝日奈侑介』君と同じ名字。

まさか、お父さんとか?

…にしては若そうだから、親戚?

私は思い切って聞いてみることにした。
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