短編log

□雨のち晴れ
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継羽は俺を家の中に入れ、リビングに通した。別にいいと言ったのに、お茶を淹れるとキッチンにいる。
渡されたタオルは、良い匂いがして柔らかかった




…バリンッ!!




キッチンから、何かが割れる音

驚き駆け付けると、そこにはしゃがみこんだ継羽とガラスの破片

「どうした!?」
「あ…つるぎ、くん…」

継羽の顔は赤い。そういえば、会った時も赤かった気がする。
額に触れると熱かった

「…つるぎくんのて、つめたい…」
「お前の額が熱いんだよ、バカ」

かたづけなきゃ…と伸ばす手を掴んで止め、継羽を抱え上げる

「へ…つるぎくん…?」
「…部屋は?」
「でも…」
「いいから」

…うえです。と、観念したように、継羽は言った










部屋は意外にシンプルだった
ただ、所々に女の子らしさがちりばめられている

「…あまり、みないでください」
「…すまない」

ベッドに継羽を寝かせる

「すみません…」
「別に…それより、薬は?」
「あ…でんわだいのしたの、きゅうきゅうばこに…」

俺は下に行く
救急箱から解熱剤を取り出して、次はキッチンに向かう




ガラスの破片を片付けていたら、血が着いていることに気付いた

「………………………」

…イライラする
ケガしてたなら、何で言わないんだ。化膿したら、どうする気だったんだ
大体、何で風邪なんかひいた。最近ムリしていたんじゃないのか。マネージャーの仕事を頑張っていたのは、気付いていたし、良いと思う。だが、それで倒れていたら、元も子もないだろう
そもそも、気付いていたのに、何で俺はこうなる前に助けてやれなかった
というか、何で俺はこんなにイライラしているんだ。あいつのことだけで…


「はぁ…………」

ため息で、そのごちゃごちゃした感情を一蹴し、水を入れる

部屋に戻る前に、もう一度救急箱のところに寄った






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