短編log
□雨のち晴れ
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紫音side
扉が開いて、剣城くんが現れる
「あ、ありがとう…………つるぎくん?」
「…何だよ」
剣城くんは明らかに不機嫌だった
「どうか…しました?」
「別に…」
ぶっきらぼうに置かれたお盆の上に、絆創膏があった。
…もしかして、ケガしてるのバレたのかな…
とりあえず、薬を飲む。
一息ついた時、いきなりケガしてる方の手をとられた。
隠していた傷が、剣城くんの目に入る
「…何で言わなかった」
「…ごめん、なさい」
「まあいい…」
すると、剣城くんは私の手を掴んで
…いきなり、私の指を口に運んだ
「…え?えぇ!?つるぎくん!?や、やめてください…!!」
剣城くんは話を聞いてくれない
ゆっくりと、傷口を舌で撫でていく
私はもう、恥ずかしいやら少し痛いやらで、いっぱいだった
…やがて、剣城くんは口を離して、絆創膏を貼った
「消毒液がなかったんでな」
…そういえば、買うのを忘れていた
「…つるぎくんは、ばかです」
布団に潜りこむ
剣城くんは密やかに笑っているんだろう
薬が効いていたのか、私は眠りに堕ちていった
*