短編log
□無くしたモノは大きすぎて
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そんなことがあったのは、昨日のことだ
ちょうど1ヶ月だった昨日のこと…
もう、お前が傷つかないように、守るから…
お前が目を開けた時の世界が、良いものであるようにするから…
起きてくれよ…
「………っ…」
不意に、視界が滲んだ
勉強する手を止めて、紫音の手に触れる
こんな温かい手なんだから、もう目覚めないなんてことないよな…
一瞬、何かが触れた
…紫音の、手が……触れた………?
滲みを拭い去って見ると、本当にお前の手が動いていて、俺の手を握っていた
「おい!紫音!!わかるか!?おい!」
「…うっ……」
ゆっくりと、瞼が開く。その瞳が見えてくる
ああ、良かった…
今思い出すと、その瞳は濁っていたような気がする
「紫音!…良かった…」
「………あなたは………
………………………誰?」
→あとがき