短編log

□晴れた空から見えるのは
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京介side







今日は少し、遅くなってしまった

この生活を初めてから気付いたが、少しでも遅いと、紫音は機嫌が悪くなるからな…


今日は、兄さんの病室にでも、連れていってやろう…








「…この病室も高いし、飛び降りたら死ねるよ」


紫音の病室から聞こえてきた声に、身体が硬直した


…忘れもしない、紫音を自殺に追い詰めたやつらの…



とっさに、ケータイのボイスレコーダー機能をいれた


尻尾を掴めるかもしれない



「いや!!私は…死なないって…」


紫音の声は震えていた。飛び出したくなった


「お前に選択権ねえし」

「教えてあげるね。死ななきゃいけない訳」



下衆な声や、あの主犯のやつの声を余さないように、ケータイを近付けた




「あんた邪魔なの。死んでくれないと………剣城くんの足斬って、サッカー出来なくしちゃうよ…?」





やつらの行動に、目眩と吐き気を覚えた




「ダメッ!!」


紫音の鋭い声に、ハッとする



「剣城くんからサッカーは奪わせないし、私は死なないって…約束したんです!!」


「だから、お前に選択権ねぇっつってん」


ガラッ!




弾かれたように、やつらと紫音はこちらを見る



「今の話、録音した」

「つ、剣城くん。今のはね…」


「これ以上ここにいるつもりなら、人を呼ぶ」

「や、ヤバくない?」
「ヤバいって…」







「…さっさと、失せろ!!」


やつらは一目散に逃げて行った


すぐさま、窓の側にへたれこんでいる紫音に駆け寄った


「紫音!すまない…!証拠を得るためとはいえ、お前に…」

「うぅ…あぁ……痛い…」

紫音が頭を抱えて、苦しみだす


「な…紫音!しっかりしろ!」





ナースコールで呼んだ看護師が来た後、俺は病室から出された



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やっと晴れた空からは





あなたの笑顔が見えました












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