短編log

□晴れた空から見えるのは
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コンコン



「どうぞ」


ガラッ…

「紫音」
「あ、剣城くん!」


最近、剣城くんは学校に行くようになった
といっても、午前だけとかだったりするんだけど


「今日は、誰か来ているんですか?」
「あぁ。呼んでくる」


最近、剣城くんはここに来る度に、私のことを知っている人を連れてくる
私が早く記憶を取り戻せるようにだ

おかげで、だいぶ自分のことや、友人・先輩達のことを思い出してきた



…でも、肝心な剣城くんに関する記憶はさっぱりだ

思い出そうとすると、激しい頭痛がして…
まるで、思い出すのを拒んでるみたいな…




「やあ、紫音」
「元気にしてたかい?」


今日、剣城くんが連れてきてくれたのは、クリーム色の髪の人と赤髪にメガネの人

この人達は…


「豪炎寺さん…ヒロト兄さん…!!」

「思い出してるの…!?良かった!!」


こうやって私に笑いかけて、頭を撫でてくれる人は間違いなくヒロト兄さんだ


「たった今、思い出しました…あっ、」

「…心配していたんだぞ。本当に…」

「…ごめんなさい。心配、させてしまって」


豪炎寺さんは、私が悲しい時に、何も言わないで慰めてくれたな…
今だって、抱きしめてくれてる




「この二人のこと、思い出したか?」
「はい……毎日ありがとうございます。剣城くん」
「別に…」


こうやってお礼を言うのも、毎日のことだ




けど、お礼より剣城くんに関する記憶を取り戻す方が、剣城くんは喜んでくれるのに





************







ある日




その時は放課後で、そろそろ剣城くんが来る頃だった




コンコン



あっ、剣城くんかな?


「どうぞ〜」


ガラガラ…


「っ!?だ、誰…?」

現れたのは見知らぬ女の子達


記憶が戻りそうな時の、激しい頭痛が襲ってくる



「何死に損なってんのよ」
「記憶喪失のフリなんかしちゃってさ…キモい」



訳のわからない言葉で、私を罵る



「私はっ…本当に、記憶がないんです…」

「ウザイんだよ!!」

パチンッ!!


頬をぶたれる
熱さが広がる



「な…何するんですか」

「ねぇねぇ。まさか、何で自殺しないといけないかも、忘れちゃったあ?」


主犯格のような女の子の言葉に、思わずビクッとする

その子は、端から見れば無邪気な笑顔を浮かべて、静かに言った



「じゃあ…記憶取り戻すお手伝い…してあげるね…?」













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