リクエストlog
□ボールが繋ぐ愛
3ページ/7ページ
“眩しい”
それが第一印象。短めに切り揃えられた青色の髪に、日の光が当たってキラッと輝いて見える。メラニン色素の濃い手が、二つの拳を受け止めていた。
「な…んだよ、お前!」
「関係ないやつは引っ込んでてくれるか!!」
現れた男の背の高さに怯みつつも、引っ込みが付かなくなっているらしい先輩二人は、青の男に噛みつくように怒鳴りつける。だが、男はそれを無視して桜井に手を差し伸べた。
「立てるか?」
「、あ…はいっ」
筋の目立つがっしりした腕が、桜井を勢い良く引っ張り上げる。このコートを知っているということは、彼もバスケをするのだろうかと、桜井は漠然とそう思った。
「あっ…!」
「無視してんじゃねぇ!!」
背後で赤茶髪の先輩が、助けてくれた彼に殴りかかるのが見えて、桜井はとっさに庇おうと動いた、が…
「おっと、」
「うわっ!?」
青髪の男は簡単に軌道を逸らして、横に転ばせる。男は、はぁーあとため息をついて、赤茶髪と黒髪の二人を呆れた目で見回した。
「お前らよぉ、殴ったりしていいのかよ。バスケットマンだろ?」
さりげなく桜井を庇いながら、男はバスケットボールを持ち上げた。
「何で言い争いしてんのか知らねーけどよ、バスケしてるやつなら、もっと簡単に話つける方法あるだろ?」
「え?」
キュルルルルと指の上で回されるボールを見ながら、桜井が首を傾げると、男はヒョイと桜井にボールを投げ渡して、赤茶髪と黒髪の方へ向き直った。
「バスケだよ、バスケでカタつけちまえばいい」
簡単だろ?と言って笑う青の男を他所に、先輩達の顔がひきつる。目ざとくそれを見つけた男は、かはっと意地悪い笑い声をあげて言った。
「そーかそーか、勝つ自信ねーか!逃げずに努力してる後輩が怖いのか。センパイさんよ」
「っ…!うるさい!!桜井なんか敵でもない!!」
挑発の言葉に簡単に乗って睨んでくる先輩達。予想外の展開にアワアワと慌てる桜井に、青の男は囁きかける。
「…お前は、逃げなかったんだろ?なら、強くなってるはずだ。……お前が正しいってこと、勝って証明してみせろ」
ストンと言葉が腹の底に落ちてくる。キュッと唇を結んで頷いた時、桜井は戦士の顔をしていた。