10/19の日記

18:42
16日の続き
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大学生峰さん×中学生良ちゃん続き
ちょっと、いえかなり注意



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その手が、忘れられない。



『ふぁっ、あ……あ、んん…』



頬や胸、僕の知らない場所にまで触れてくる手は酷く熱いのに、まるでガラス細工に触れるかのように優しかった。



その声が、忘れられない。



『良……良……』



許しを請うような声音が、鼓膜を擽る。その度に、心の奥底がきゅう…と締め付けられるような感じがした。



その唇が、忘れられない。



『りょう…』

『んんっ、あ……だいき、さ…ぁん、』



触れあっている唇から狂おしいほどの熱が広がって、甘美な痺れが脊髄を通って身体の奥深くへと…






「良ちゃん色っぽくなってない?」

「ブッ!!けほっ、ケホッ!!」



友人である和美ちゃんの問いに、飲んでいたミルクティーを吹き出しそうになってしまった。ここが、人の少ない昼休みのウッドデッキで良かったと、切実に思う。



「い、いきなり何ですか?和美ちゃん」

「いやだってさ、休み時間中、ずっと憂いを帯びた瞳で、頬杖ついてる良ちゃんは、ものすごく色っぽかったよ?まるで、処女を喪失したみたいにさ。ね?テッちゃん」



相変わらずよく回る口だなぁ、と思ってから、僕はもう一人の友人、テツナちゃんの方を見た。



「そうですね。桜井さん、今朝から腰が痛かったようですし」

「ブフォwwwwww腰wwまさかの本当にヤっちゃった感じ?wwwwww」



テツナちゃんの返しに和美ちゃんは爆笑した。腰の何がそんなに面白いの?“やる”って一体、何するんだろ?
疑問符ばかりの僕に気付いた二人は、何やらこそこそと話した後に、振り返ってきた。



「では、純真培養な良ちゃんのためにテッちゃんが“ヤる”について素因数分解して、教えてくれまーすwwwwww」

「心して聞いてくださいね」

「あ、はい。すいません、ありがとうございます」



やっぱり二人は親切だなぁ。それにしても、テツナちゃんものすごく楽しそう…



「まず“ヤる”というのは、おおよその意味で言いますと、セックスをすることです」

「せっくす?」

「セックスというのは…そうですね。具体例を示しましょうか。例えば、仰向けにされて上に男の人が乗ってきます。そして唇にキスをされまして」



ビクッと肩が跳ねた。



「それ以外の部位にもキスをされながら、服を脱がされていきます。下着をずらされて、胸部を揉まれたり、舌で舐められたりしますね」



だって、そんな、どうして?



「さらにパンツも脱がされまして、桜井さんのお股の間にある穴の内の一つを指で撫でられたり、ここも舌で舐め回されたり」

「テッちゃんストップ!良ちゃん沸騰してる!!ww」



和美ちゃんの言う通り、僕は耳まで真っ赤になっている自覚があった。だって、この間大輝さんとしたことを、テツナちゃんはまるで見ていたんじゃないかってくらい、詳しく語ったんだもん…
和美ちゃんは、ケラケラ笑っていたのに、スゥッと真顔になって言った。



「…マジな訳?良ちゃん」

「類似した行為が、いくつかあったんですね」



どこか憤っているような声を発したテツナちゃんに、無言のまま小さく頷いて、僕は口を開いた。



「いくつか…というより、全部、です……テツナちゃんが言ったこと、そのまま…」



僕がそう言うと、二人は目を見開いてから、さらにグイッと顔を近づけてきた。



「ヤったやつ誰?もしかして良ちゃんの好きな、例の近所のお兄さん?」

「同意の上での行為なんですよね?」

「ど、同意というか……キス、された後、僕びっくりしちゃって何も言えなくて…いつの間にか、お洋服脱がされてて、頭がふわふわして、身体にも力が入らなくって……」

「は、なにそれ……そんなのただの強姦じゃん、犯罪じゃん!」



吊り目気味の和美ちゃんが眉尻をさらに上げて、非難の声をあげた。



「は、犯罪って、そんな……こんな悪戯、今までにたくさんありましたし…」

「悪戯で桜井さんにそんなことをしたなら、その人はもっと最低だ」



庇おうとしたけれど、テツナちゃんの本気で怒っている声に、僕は少し、押し黙ってしまった。
でも、大輝さんは最低なんかじゃないもん。だって、大輝さんから与えられた口付けや、僕を呼ぶ声、触れてくる手の全てから、伝わってきたの。“ごめん”って。この上ないくらいの後悔の感情が伝わってきて、僕はただ、大輝さんにそんな思いをしないでほしくって、思わず抱き締めてしまったんだ。



「……だから…だから、大輝さんは最低なんかじゃないんです……大輝さんは……っ、大輝さん、は」



僕が感じたことを語るのを、二人はただ黙って聞いてくれた。最終的には何が言いたいのかわからなくなって、泣き出してしまった僕を、二人は撫でてくれた。
落ち着いた頃に、口を開いたのは和美ちゃんだった。



「どっちみちさ、良ちゃんは聞かなくちゃ。そのお兄さんが、何でそんなことしたのか」

「でも……会いづらくて…」



僕が渋ると、今度はテツナちゃんが僕の両肩を掴んできた。彼女の澄んだ水色の瞳と、目が合う。



「話すのが嫌なら、僕は友達が強姦されたと、警察に話します」

「そんな…」

「このままにしておく方が、お二人にとっては一番良くないですよ」



テツナちゃんの言葉は正論だ。確かに、大輝さんとこのままは嫌だ。



「男がヘタレなら、たまには女が気張らないとダメなんだって!良ちゃん」



和美ちゃんが、いつもの明るい口調で励ましてくれた。僕が…僕が、頑張らないと…



「…わ、かりました。放課後、大輝さん家に行きます」



それまでに決心をつけようと思った。なのに、






「今日は、OBの青峰が教えてくれるぞ〜」



放課後の部活、突然男バスとの合同練習になったと思ったら、大輝さんはコーチの紹介と共に現れた。



「…なんで」



一瞬かち合った視線は、僕から断ち切った。それに対して、大輝さんがどんな反応を返しているかに気付きもしないで。






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良ちゃんと仲良しなのは、高尾和美ちゃんと、黒子テツナちゃんです。同じクラスで同じクラブ(女バス)

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