11/05の日記
18:02
10月19日の続き
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大学生峰さん×中学生良ちゃん第三弾
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カリカリカリ…
私は自室のデスクで課題のレポートに取り組んでいた。目が悪くならないように、手元のスタンドライトと部屋全体を照らすLEDの明かりまでつけているというのに、部屋の一角が暗い。とにかく暗い。どよーん…という擬音語が具現化して、漂っているようにも思えてくる。はぁ…とため息をはいて、シャーペンを置き、陰鬱な空気の発信源に目を向けた。
「…大ちゃん。人の部屋でネガティブな雰囲気垂れ流さないでくれる?」
「良に…きらわれた……」
聞こえていない様子の大ちゃんに、蹴りを炸裂させたのは、仕方ないよね。
「…それで?何かあったの?」
さっさと話して、出ていってもらおうと思い、話しやすいように疑問を投げかければ、大ちゃんは途端に暗くなるから、あぁ鬱陶しいと思う。このレポート、期限近いのに。
「…OBとして来てくれって言われたから、帝光行ったんだけどよ」
「あぁ。良ちゃん、帝光だもんね。会ったんだ」
「………おもいっきり無視られた…」
珍しいなと思った。だって、良ちゃんが大ちゃんのこと大好きなのは、見てたらすぐにわかったから。そんな良ちゃんが、大ちゃんを無視したりするなんて思わなかった。…もしかして、大ちゃんの気を惹くための作戦とか?もしそうだとしたら、良ちゃんはなんて可愛いんだろう。大ちゃんが良ちゃんにベタ惚れなのは、一目瞭然なのに。
「男バスと女バス、両方いっぺんに見ることになって、良に会ったんだけどよ…」
「うん」
「…目があった途端、おもいっきり顔そらされた」
「良ちゃんに?」
「しかも、良に話しかけようとしても…なんか、あいつと仲良いっぽい女子二人に邪魔されるし、その女子が、足が滑ったとかなんとかで、蹴ってくるし……」
どういうことなんだろう?気を惹くためなら、大ちゃんが良ちゃんに話しかけようとした時点で、目標は達成出来てるはずだし。でも、良ちゃんが自分の意志で大ちゃんを遠ざけようとしたなら、何かしら理由があるはず…
「良ちゃんに何かしたんじゃないの?」
そう尋ねたら、大ちゃんの肩が面白いくらいに跳ねる。昔からわかりやすい幼なじみだ。何したの?と声を低くして聞けば、鮮度の良いお魚のように、目が泳ぐ。
「あー……」
「何で言えないのかなぁ?もしかして、口にするのも憚られるようなことしたの?」
「………」
「図星なんだ。……まさかとは思うけど、襲ったりしてないよね…?」
「………」
無言は肯定と同義だ。つまり、大ちゃんは人として最低なことをしたってこと。
パァン!
平手打ちをした右手が痛い。けど、何もわからないまま襲われた良ちゃんの心の方が、もっと痛いはずだ。
「最低だよ、大ちゃん。バカで…最低で…どうしようもない…!」
「…わかってる」
「わかってたんならそんなことしない!抑えきれなかったなんて言うつもり?結局は、自分のバカな欲望を、年端もいかない女の子に押しつけたんじゃない!!」
大ちゃんの顔は、取り返しのつかないことをしでかした時の子供の表情によく似ていた。
「良ちゃんが大ちゃんを嫌いになるの、当たり前だよ。むしろ、そんなことしといて、好かれたいって思う方がおこがましいよ」
「…良………」
「…でもね」
大ちゃんが訝しげな表情をしてくる。私がこの後にどんな言葉を続けるのか、全然わからないんだろう。
「さっき、良ちゃんが電話してきたの。大ちゃんとちゃんとお話したいって」
「は、」
「大ちゃんが私の部屋の隅でいじけだした時にね。詳細は話してくれなかったんだけど、大ちゃんとちゃんと話したいんだって」
良が…と呟いたっきり、大ちゃんは俯いたまま。どこまでも手のかかる幼なじみだなぁ。
「ヘタレな大ちゃんはどうするの?良ちゃんが来るまで、いじけたまま?」
「…んなわけあるか。誰がヘタレだ」
その返答に少し安心した。これなら大丈夫かな。
「言っとくけど、私は大ちゃんを許したわけじゃないからね。良ちゃんに変なことしようとしたら………わかってるよね?」
「もうしねぇよ、絶対。……サンキュな、さつき」
大ちゃんがお礼なんて、明日は槍が降るかもしれない。そう思いながら、レポートの資料を持ってリビングに行く。
その時、玄関のチャイムが鳴った。
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あとは、本編が二つとオマケが二つになります。たぶん、オマケの方が先かな…
続きくださいと言われてたお方、こんな駄文で申し訳ないですが、お付き合いくだされば、幸いです。
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