しゅごキャラ!
□大きい手
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はじめは私の彼に対する気持ちはかなり最悪だった。
なんとなく信じられない男。
そして彼の秘密を知ってからはさらに悪化した。
「あむを騙す悪い男」、と―。
私は今、ロイヤルガーデンにいる。
ちなみにいるのは私一人じゃない。
慣れた手つきで紅茶を淹れていた、紫色の長くキレイな髪で茶の瞳をした少年がさっきの私の一人事にピクリと反応した。
「それって僕のこと?」
「さあ、どうかしらね」
今このロイヤルガーデンは、Qチェアの私とJチェアのなぎひこの二人きり。
「悪い男だなんて…語弊があるなぁ」
「誰もなぎひことは言ってないわよ」
私がそう言うと、なぎひこは少し驚いた顔になり、そしてすぐにまたにこりと微笑んだ。
「りまちゃんの考えてることぐらい分かるよ」
「…ストーカー?」
「そうじゃないよ」
私が「じゃあなんで?」となぎひこのほうを見ると、彼はいつの間にか真剣な表情で私を見つめていた。
「僕はりまちゃんのこと、ずっと見ていたからね」
「…え?」
「だからりまちゃんの考えてることぐらい分かるさ。言っておくけど、僕は真剣だよ」
「……ずっと見てたって、やっぱりストーカーじゃない」
「あのねぇ…ストーカーじゃないよ…。言ったでしょ?僕は真剣だ」
違う…わかってる、そんなの。
はじめは、ただ嫌な男だと思ってた。
でも最近、なぎひこに対しての気持ちが変わってきていたことに気づいてしまった。
いや、本当はもっと前から気づいていたのかもしれない。
ただ信じられなかったんだと思う。
警戒していた男に…恋心を抱くなんて…。
「返事は今すぐじゃなくてもいい。だからこの気持ちは信じて?」
「わかってるわ」
「うん…。ありが「あなたが私のこと見てたことぐらい、わかってた」
「え?」
なぎひこの言葉にかぶるように私は言った。
「そんなにわかりやすかった?僕」
「違うの…。私も見てたのよ」
「…え?」
「なぎひこが私を見ていたように、私もなぎひこのことを見てたのよ…」
そう、知らぬうちに彼を目で追うようになっていた。
探すようになっていた。
「だから気づいたの」と私は勇気を出して言ってみた。