しゅごキャラ!
□短冊に想いを
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「りまちゃん」
私が帰ろうとしていたら誰かに声をかけられた。
まあ、こんな風に呼ぶのは一人しかいないけど
「なぎひこ…」
「一緒に帰らない?」
―
今日の商店街は凄いことになっていた。
今日は7月7日。七夕の日。
七夕祭りには凄い数の人がいた。
「ちょっと見ていかない?」
「…そうね」
私となぎひこは七夕祭りに寄り道することになった。
奥まで行ってみると、さすがお祭りだ。身動き一つとれないほど人がいる。
流れにそって歩いてるから、出店にもなかなか近づけない。
「りまちゃん、お腹空いてない?」
なぜかずっと無言で歩いていた私たちだったけど、なぎひこが聞いてきた。
「…少し」
「何か食べようか」
「私、お金持ってない」
「僕にまかせてよ」
なぎひこはそう言ってきれいにウインクをした。
…小学生が持ってるお金なんてたかが知れてるのに
しかも学校帰りだし、もともとお祭りに来るつもりだったわけじゃないし
さすがと言うか、しっかりしてるなぁと思った。
「なぎひこ?」
「ん、何?」
「かき氷が食べたい」
「うん、じゃあ買い行こうか」
「…ん」
ちょうど目の前にかき氷屋さんがあり、人混みの流れに逆らうように進む。
「あ…」
「大丈夫…?」
人混みに流されかけた私の手を掴んでくれた。
そのまま、なんとか人混みから外れてかき氷のお店の裏にあるベンチに座った。
「なぎひこ…その…あ、ありがとう…」
私がそう言うと、少し驚いた顔をしたけどにこりと笑ってくれた。
「りまちゃんはここで待ってていいよ。僕がかき氷買ってくるから。何味がいい?」
「…レモン」
それだけ聞いて、なぎひこは目の前のかき氷屋さんのほうに走って行った。
さっき手を握った時、ふと思った。
見た目はスカートでも履けば女の子に見えるような顔立ちだが、人混みに流されそうだった私を引っ張る力も強かったし、握った手もやっぱり男の子の手だった。
彼はやっぱり男の子なんだと意識したとたんになんだか顔が熱くなってきた。
恥ずかしくて顔を両手で覆い隠していたら、右の頬にひんやりとしたものが触れた。
なんだろうと思い顔をあげると、そこには両手にかき氷を持ったなぎひこがいた。
「はい、レモン」
「あ、ありがとう…」
さっきの事を思い出し、妙にぎこちなくなってしまう。
「大丈夫?顔赤いけど…もしかして熱あった?さっきも俯いてたし…」
「違うの…!だ、大丈夫だから…気にしないで」
「うーん…気にしないのは無理かなぁ」
「なんで?」
「ふふ、それはまだ秘密」
私は頭に?を浮かべながら、かき氷を口に運んだ。
レモンの甘酸っぱいのと冷たいのが私の舌を刺激した。
隣を見ればストローのスプーンをくわえながら人差し指でこめかみを押している姿があった。
その姿があまりにも愛しくてつい笑ってしまった。
そんな私に気づいたのかなぎひこは口からスプーンを抜いた。
「りまちゃんは頭痛くならないの?」
「平気よ」
「なんだかなぁ」
変なことで落ち込んでいるなぎひこが面白くてまた笑ってしまった。
私が笑っていると、つられたようになぎひこも笑いだした。