その他
□恋は突然に
1ページ/2ページ
「おはよー」
そう言って楽屋に入ると光くんと薮くんがおはよう、と返してくれた。
今日はBESTと7で楽屋が違う。
ちょっと時間ギリギリで来たから全員いると思ったけど、高木くんと伊野ちゃんは楽屋にいなかった。
「伊野ちゃんなら自販機行ったぞー」
「へ?」
「あれ違うの?」
薮くんがサッカーの雑誌から顔を上げて、ん?とこっちを見てきた。
いや…たしかに、いないなーとは思ったけど、別に探してはないし…てゆか、てゆか、
「なんで?」
「だって大ちゃん伊野尾大好きじゃん」
「えー、そんなでもない(笑)」
「ひど(笑)」
「本人聞いたら落ち込むな」
「たしかに」
「えー」
伊野ちゃん可哀想、とか言いながら超笑顔な薮くんと、凄い楽しんでる光くんを横目に荷物を置きに行く。
そのまま着替えようと衣装を手にした時、伊野ちゃんが帰ってきた。
「あ、大ちゃんだー、おはよう〜」
「おはよー」
片手にコーヒーを持って俺の近くにあった椅子に座る。
あぁ、そういえば、と伊野ちゃんから何か話があるようで、耳だけをそちらに傾け、いそいそと衣装に着替える。
「どうしよう、大ちゃん」
「んー?何が?」
「夢にさ大ちゃん出てきたんだけど、なんと、大ちゃんが俺の彼女になっててさ〜」
「へ、へぇ…」
なんだなんだ、今日はなんだかそういう話が多い気がする。
いや、伊野ちゃん大好きだけどさ。
だって面白いし、俺のノリにも付き合ってくれるし。テキトーだけど。ちょっと禿げてるけど。←
大好きだよ?でもそれは伊野ちゃんだけじゃなくて、光くんも、薮ちゃんも、高木くんも、7のみんな、JUMPのみんなが大好き。
なのに、なのに…
「でさ、俺気づいたんだ。なんかね、大ちゃんが好きみたい」
それじゃ、ダメなの?
「……え」
「だから、大ちゃんが好きなんだよー」
あー、うん、好きなのは分かったから。いやいや、分かっちゃっていいのか自分。
待て、落ち着け。
そうか、何も付き合ってと言ってるわけじゃないんだから、普通に振って、この話は終わり。
きっと変な夢見たせいでおかしくなってるんだよ。一時の気の迷い、うん、そうに決まってる。少しすれば、笑い話になってるって!
「大ちゃん聞いてる?」
「え、あ?うん?聞いてる、聞いてる」
「そ?じゃあさ、正夢にしてよ」
え…正夢って…
伊野ちゃんの彼女になれってこと!?
「あ、あのさ伊野ちゃ」
「あ、拒否権はないんで」
そう言って、いつの間にか目の前に来た容姿端麗な彼は、俺の唇に熱を残して優しく笑った。
恋は突然に
(…)
(あれ、意外にまんざらでもない感じ?)
(…苦かった)
(ふふ、大ちゃん顔真っ赤ー)
→おまけ