紳士の秘密ページ
□胸に秘めたもの
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それはとある日のことです。
「柳生、今度の委員会だが……」
私は真田君から次の風紀委員会の話をされました。そのことに応えようとしていると、
ドドドドド……
廊下からけたたましい音がしました。誰かが走っているようです。
「待って、亜澄」
「マジで、本当にやめてよ幸村!追いかけてくるな〜!」
「フフッ、追いかけっこなら負けないよ」
「誰か助けて!」
どうやら我らがテニス部部長・幸村君がマネージャーで同じクラスの亜澄さんを追いかけ回しているようです。
もちろん、廊下を走ることなど風紀が乱れていることです。ですから、先ほどまで私と会話されていた方はとても怒りに満ちています。
「幸村、亜澄!廊下を走るなど言語道断!たるんどるっ!」
廊下へと赴き、2人に注意する真田君ですが、
「だったら、幸村をなんとかしなさいよ!この年齢不詳!」
「止めるなよ、老け顔が」
この2人は真田君が怖くないのか、それぞれが真田君が気にしていらっしゃるであろうことを仰って、追いかけっこを続けられます。
「ヤバい、疲れた……ぎゃっ!」
「捕まえた」
「いやぁぁあぁあ!」
幸村君は亜澄さんに首輪をつけ、さらに首輪からのびる鎖を引っ張りながら、彼女を引きずり、彼らのクラスであるC組へと戻っていきます。
「待ちたまえ、幸村君、亜澄さん」
「柳生!」
「何かな、柳生」
真田君は傷ついてしまい、教室の自分の席で座って落ち込んでいます。そのため、同じ風紀委員である私が注意しないと。
「2人とも、廊下を走ってはいけません」
「だって、幸村が青学の乾くんが作るような汁を飲ませようとするから」
「俺は走ってないよ。早歩きで亜澄を追っていただけさ」
まったく、呆れてものも言えません。
しかし、ここで何も言えなくては風紀委員という立場がない。