紳士の秘密ページ

□胸に秘めたもの
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私は心を鬼にしてお説教することを決心しました。が……


「柳生、ここは見逃してくれないかな」

「何を言って……」

「その胸ポケットに入れてある亜澄の写真。内緒にしておくから」

(な、何故、それを……!?)


幸村君のいう写真とは、体育のプールの時間での亜澄さんが写っているもの。もちろんスクール水着の姿。

このことが公になってしまったら、似非紳士と呼ばれるのは明確なこと。変態というレッテルを張られ、亜澄さんからも嫌われてしまうこと確実です。


「こ、今回だけは特別ですよ。亜澄さんにも理由がありましたし、幸村君も走っていたわけではないようですから」

「ありがとう、柳生」


幸村君にそう言われるが、私はもう1つ気になっていることがある。


「やぎゅ〜……」


亜澄さんが私を見て助けを求めています。なんて愛らしいのでしょうか。
幸村君が持っている鎖を受け取って、私がこのまま家に飼ってしまいたいくらいです。

そんなことを口に出したら、確実に白い目で見られるのですが……。


「その代わり、幸村君、亜澄さんを放してあげてください。女性が嫌がっていることをするのは紳士として放っておけません」

「しょうがないなぁ」


幸村君が渋々と亜澄さんを解放すると、彼女はいきなり私に抱きついてきました。


「やぎゅ〜、ありがと!」


亜澄さんの柔らかな身体が私に密着して、彼女の体温が伝わってきます。また、彼女からとてもいい香りがしてきて、私の鼻をくすぐっていきます。なんというか、役得です。

私が亜澄さんを堪能していると、


「じゃあ、亜澄の代わりに柳生がこれ飲んでね」

「えっ?」

「頑張って、柳生」


サッと亜澄さんが私から離れて、そのまま早歩きで自分のクラスへと帰ってしまいました。

その場に残されたのは私と幸村君。彼の手には飲み物とは言い難い色の汁が……。


「さ、飲んで」


誰か、助けてくださ……。



終わり
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