紳士の秘密ページ

□追いかけられる理由
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「待てー!」

「来るなー!」


今日も素晴らしい青空のもと、幸村君は亜澄さんを追いかけています。日常茶飯事のため誰もお止めになりません。


「6秒2。新記録だな」


柳君は2人の様子を見てそう言いながらノートに記入しました。ちなみにストップウォッチを持っていません。彼の目測によるものであり、その正確性は素晴らしいものです。


「柳君、新記録とは?」

「亜澄が幸村に追いかけられる50メートルの速さだ。ただし、初速から測ってはいない。あの2人、気づいたときには追いかけっこを始めているからな」


さらに聞けば、亜澄さんの幸村君に追いかけられているときの記録は中学1年生のころから2秒以上も縮まっているそうです。


「他にも亜澄さんのデータはお持ちなんですか?」

「ああ。基本的なデータから心理分析まである。知りたい情報があるのなら、教えられる範囲で教えるが」

「べ、別にそういう訳では……」


本音を言えば、現在亜澄さんが好意を寄せている異性がいるかどうかを知りたいです。しかし、それを言ってしまうと同時に私の彼女に対する思いが柳君にバレてしまいます。なるべくそれは避けたいところ。

それに、こういうことは本人から直接聞いた方がいいと思い、断ることにしました。


「柳君のせっかくの厚意、申し訳ありませんが「スリーサイズを教えてくれませんか?」

「……は?」

「い、いえ!私が言いたいのは「亜澄さんの性感帯が知りたいです」

私の言葉にかぶして話す声、私の背後から聞こえてきます。
バッと後ろを振り向けば、私のダブルスパートナーの仁王君。


「に、仁王君!私の声を真似て変なこと言うのは止めたまえ!」

「なんじゃ、柳生は興味ないのか?亜澄のスリーサイズと性感帯」

「きょ、興味だなんて……」

よく“紳士”と言われる私ですが、その前に男なのです。

普段は衣服で纏う身体のプロポーションがわかるスリーサイズ、刺激をすれば雌としての本能を開花させる性感帯……一般の女性ならさほど興味はありませんが、亜澄さんのデータとなると話は別です。

それでも、その内容が女性の身体や性に関することなので、私がここで興味があると言えば私の品格が損なわれるかもしれません。だからといって興味がないと言えば嘘になります。

あぁ、私はいったい何と答えればいいのでしょうか……。
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