紳士の秘密ページ

□隣を夢見るまで
2ページ/3ページ

次の日。朝練前。


「ジャッカル君!」


私はジャッカル君の両肩をガッチリとつかみました。


「昨日は(亜澄さんとの関係の発展は)何事もなかったですよね!?」

「(不審者の事か?)ああ。何もなかったぜ」

「よかった……」

(そんなに心配だったのか)


朝練が終わり、今日も亜澄さんを送る役をくじで決めます。


「あ、俺だ」


幸村君に決定しました。


「じゃあ亜澄、今から10数えるから」

「なんで?」

「捕まったら俺が開発した関節技の実験台ね」

「いやいや、勝手に決めないでよ。あと、捕まったらってどういうこと?」

「いーち」

「うん。答えてくれないよね。理由なんてないもんね」

「に……」


ガチャ、バタン


亜澄さんは部室を飛び出し、全速力で帰っていきました。


「さーん。みんな、お疲れ様」


10も数えないうちに幸村君は亜澄さんを追うように、同じく全速力で帰っていきました。


「待てー、亜澄」

「ぎゃー!ちゃんと10数えろー!」


ドドドドド……





次の日。朝練。
ついにこの時が来ました!神様、ありがとうございます!


「今日は柳生が送ってくれるんだ。よろしくね」

「ええ。私が責任を持ってお送りしますよ」


笑顔でそう言ってくれる亜澄さん。昨日、関節技をかけられたのか、貼られたしっぷが痛々しいです。


「ん、ちょっと待て」


私が内心で喜びに浸っているとき、真田君があることに気がつきました。


「今日は風紀委員会の仕事があるぞ」


風紀委員会の仕事は議題にもよるのですが、場合によっては部活終了時刻よりも長引いてしまう時があります。


「じゃあ、くじはやり直しになるね」

「ええ。すみません」


神様のバカヤロー!

幸村君にくじを返し、私は心の中で涙を流しました。

ちなみに、この日は丸井君が亜澄さんを送る役になりました。



次の日。
神様、昨日の私の非礼、お許しください。

昨日は本来、私が亜澄さんを送っていくはずでしたが委員会があったため、できませんでした。そこで幸村君から今日の彼女の送り役を任されました。
帰宅時がとても楽しみです。


「よぉ、柳生」


これから午後の部活に向おうとしたところ、仁王君に呼び止められました。


「どうしましたか?」

「今日の部活、入れかわりせんか?」


私と仁王君はときどき互いが互いを変装する、つまりは私が仁王君に、仁王君が私に変装するときがあります。
最初はすぐに見破られてしまうのではと思いましたが、案外見抜けられないものです。


「ええ、構いませんよ」


このときの私は亜澄さんと一緒に帰ることで浮かれていたのかもしれません。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ