白と黒の行く末
□どの子にしましょう?
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「……ううう……う〜〜〜……」
ヒウンシティのポケモンセンターの隅っこ。
机に突っ伏すルオンが非常に頭を悩ませていた。
それに呆れた表情をしながらアユミが話し掛ける。
「おまえ……まだ悩んでるのか……」
「悩む……悩みますよぅ、これは……」
ルオンが珍しく、真剣な表情で悩んでいた。
それに対し、アユミの反応はますます眉間にシワを寄せていく。
「おまえの手持ちでいないタイプで良いんじゃないか? ってかそうだろ。むしろその方が手っ取り早い」
「ほのおタイプ重ね持ちのアユミさんにだけは一番言われたくないセリフですね〜。……ってか、そういう問題じゃないんです! コレばっかりはアユミさんのように即決で決めるわけにはいきません!!」
アユミの発言に、ルオンは目を見開いて否定する。
「けどよ、おまえ……」
「だって……だって……」
アユミが何か言おうとすると、わなわなと肩を震わせた。
「――ブイっ?」
そしておもむろに、彼の膝上でゴロゴロと甘えているポケモンを抱え出した。
「――進化先がどの子もこの子も可愛いんだから決められないんですよぉぉぉぉぉぉッ!!!!!」
「あー、はいはい……」
注目を集めんばかりに絶叫を出すルオン。
それにアユミはうるさそうにしながら、眠っているブースターの身体を撫でる。
ルオンの悩み――。それはヒウンシティの(非常に目立たない)草むらからゲットしたイーブイの進化先についてだった。
ちなみにアユミはゲットした後、即決でブースターに進化させました←
「ブースターは真ん丸としたふわっふわな毛並みが良いですし、シャワーズは人魚を思わせる鰭(?)と青い肌が美しいですし、サンダースは雷を弾けさせたような元気バリバリな姿が素晴らしいですし」
「え。ちょ、待っ……」
「漆黒のブラッキーが『つきのひかり』で輝くクールでカッコイイ姿も、エーフィのエスパー技使用の際のどこか神秘的な姿も捨て難いですし!」
「うん。わかったから落ち着い」
「リーフィアの自然と一体化した絵になる姿や、グレイシアの透き通る美しい肌もまたもったいないですし!! もう決められないですぅ!!!」
「……ああ。そう……」
ここまで熱く語るルオンに、アユミもそれ以上追求しなかった。
能力ではなく姿云々を重要視するルオンには、あまり深く突っ込むと面倒だからだ。
「ああ……悩みますぅ……」
「ブイィ?」
「……もう好きにしてくれ」
ぐりぐりと額をイーブイの毛並みに押し付けるルオンに、アユミは深くため息を着くしかなかった。
―END―
――――
『ブラック2』をしながら、7月25日のポケモンを見て思い付いた、非常に突発的な短編。
ちなみに作者は小躍りしながらゲットした直後、真っ先にブースターにさせました←
アユミと同じなんです。