白と黒の行く末
□二人の自由人
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もっとも彼はポケモンなので、アユミには鳴いて何か訴えている風にしか聞こえないが。
「……慰めているのか? ありがとな、シャロンさん」
『ナデナデされた……えへへ、嬉しいです!』
頭を撫でられ、気持ちも通じたのが嬉しいのか、気持ちよさそうに一鳴きした。
「……アユミさん。僕には?」
「なんでおまえにやらなきゃなんねーんだよ」
即座に一蹴。ルオンは「え〜」と残念がり、羨ましそうにシャロンを見ていた。
『当たり前です。これはボクとボクが決めた人だけしか認めないです』
『うわぁ、自己中心。ってかそれ君が決めていいことじゃないよね?』
ここでルオンの肩辺りから声――というか鳴き声がした。
ルオンの肩にいるのは彼のパートナー――スカーフポケモンのチラチーノ。愛称チノである。
『うるせーです。チノは黙りやがれ! です!』
『シャロンもうるさいんだけど。チノ悪くないし、正論言っただけだし』
『嫌なものは嫌です!』
両者睨みながら言い合う。
……人間から見れば、ただの鳴き声合戦にしか見えないが。
「……またなんか始まったな」
「ポケモンも生き物ですからね〜。どんな会話してるか、すごく気になるんですけど」
「うふふっ☆」とアユミから見れば気色悪い笑みを浮かべるルオン。
そんな彼に何度目のため息をつきながらも、「とにかく!」と叫ぶ。
「俺はここでくたばるなんて絶ッッッ対に嫌だからな!! 這ってでもライモンシティに行くからな!」
「はいはい、待ってくださいよ〜」
ズンズンと歩き出し、砂嵐を掻き分けるように進んで行くアユミ。
それに着いて行くルオン。
果たして二人の行く末は、一体どうなることやらか……。
――――
ちなみに二人がライモンシティに行けたのは、サザンドラの三散に空から案内していただけば? ということに気づいた三日後だった。