白と黒の行く末
□二人の自由人
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他と一風変わったポケモンが生息する地方――イッシュ。
カントーやジョウト等、他の地方とはまた違った景色を見せる。
そして今日も二人――あるトレーナーたちがそのイッシュを自由に駆けずり回り、トラブ……げふん、日々を送っていた。
――――
「……ルオン」
「なんですか? アユミさん」
その日、アユミはげんなりとした表情で相方の少年、ルオンを呼んだ。
金髪に褐色の肌の少年はにこにことしながらアユミに顔を向ける。
「……俺ら。どこに行くんだっけ」
「ライモンシティですね。地下鉄ブラザーズは元気でしょうか?」
「……今どこだっけ」
「4番道路ですね。今日も砂嵐がひどいです」
「……ライモンシティはどっちの方角だ?」
「砂嵐がひどくてわかりません」
「……いつになったら着くんじゃボケェエエエッ!!」
八つ当たりにルオンに木刀による突きを放ったアユミ。
当たれば無事じゃないその攻撃を、当然ルオンは首だけ動かして避けた。
背後で岩が派手な音を立てて粉砕する。……カイリキーより恐ろしい腕力です。
「危ないですね〜。当たれば即死なんですけど」
「知るか! つかどーすんだよ! 前後左右、東西南北! 180度砂嵐だけだろうがァ!!」
頭を掻きむしりながら叫ぶアユミ。
……まあ上記のセリフからわかる通り、彼らはイッシュ地方の娯楽都市・ライモンシティへと向かっている途中だった。
が、4番道路はつねに砂嵐が吹き、今日のはまた一段とひどい。
故に、この二人は方角を見失い、完全に迷子になってしまった、ということなのです。