妖精の渡る土地
□未知のポケモンを捕まえろ!!(???編)
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カロスの伝説のポケモン。
生命ポケモンのゼルネアス。
破壊ポケモンのイベルタル。
……しかし。中には伝承にも残されていない、謎のポケモンもいるのである。
――――
「……アユミさん。ホントに行く気ですか〜?」
「当たり前だ。だって他に行く場所ねーし」
「ですよねー。……はあ」
顔を曇らせ、それでもアユミに付き添うルオン。
「“化け物”が現れた炭鉱、な。妖しさ通り越して気になるじゃないか♪」
炭鉱を歩きながら、鼻歌混じりに楽しそうに進むアユミ。
二人がいるのは「終の洞窟」。ここは数年前に“化け物”が現れ、閉鎖された炭鉱である。
「化け物、ねぇ……そういうのに限って、たいてい珍しいポケモンだったりするよな?」
「それを見たい一心で動くアユミさんにはある意味すごいですよ」
「みたいだけじゃない。できれば捕まえたい」
「……さすがですぅ」
普通なら怖がるところだが、そこはアユミの知ったことではない。
その事を再認識したルオンは、ため息をつきながらも付き従うのだった。
――――
洞窟の奥を進み、化け物とやらを捜す二人。
途中、この先は危険だ。と伝えてくれた作業員がいたが、アユミがカロスリーグを優勝したことを知ると、あっさり通してくれた。
「ふふふ……いよいよだな」
「アユミさん……目が妖しい光を出してますよ?」
チャンピオンクラス以外通行禁止の通路を通り、もはや好奇心でいっぱいのアユミである。
「さすが最深部ですねー。水滴が落ちる音も、まるで吸い込まれるように消えますよ」
「静寂ってな。辺りも暗いし、チキンハートには無理があるな」
「というより、こんな奥まで来るのはよっぽど物好きだとしか言いようが無い気がしますが」
「それは言うな。俺らが当て嵌まる」
もはや緊張感などかけらも無い二人。
音も無い通路を、一歩ずつ歩いて行く。
……ピト。
「……ん?」
祭壇にも似た段に上がると、後頭部に何やら違和感を感じた。
何かが張り付いた、そんな感覚が。
「ルオン……にしては冷たいな。どっちかってーと、まるで爬虫類系の鱗……」
「アユミさん! 後ろ、後ろ!」
「ん?」
珍しく切羽詰まったルオンの叫びに、思わずクルッと振り返った。
「――ザギャアッ」
目が合った。“何か”と←
その“何か”は、ばあっと驚かせるみたいな(それにしては大音量だが)感じで五つの鰭らしい物を震わせる。