虹の検事局・後編

□第23話(6P)
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 2人でかりんとうをさくさく食べていると、御剣が尋ねた。
「コレは、事件当時、日本にどれぐらい輸入されていたのだろうか?」
「それも調べてみました。非常に珍しいもので、当時は数匹程度です。だけど、そのうち1匹が、事件の半年ほど前に、夜芽さんが住んでいた家の近くの、かめしろペットショップという店舗に納入されたという記録があります」

 そのペットショップは仁菜には思い当たりがあった。

「ただ、その後のデータにちょっと不備があって、販売先までは調べられませんでした」
 茜は残念そうに言うが、仁菜は心から感謝して頭を下げた。
「いいんですよ! あたしも勉強になるんで。早く犯人が見つかるといいですね!」
 茜は元気に言って執務室を出て行った。

「新しい事実が見つかったな。再捜査の申請をしておこう」
 御剣は、そのペットショップについて、さらに少し調べてみることにした。


■12月23日 地方裁判所 控室前廊下■

 次の日の午後、審理の休憩時間、御剣の携帯に仁菜から電話がかかってきた。ざわつく中からかけてきている。
「公判中でしたか、すみません。あのペットショップ、同級生の家なんです。今日、朝一から現場で、早めに上がれたので、これから話を聞きに行ってみようと思います。あ、電車が来たので、またあとで電話します」

「ちょっと待てッ!」と御剣が呼びかけたときには、電話はもう切れていた。しかも、審理の再開の時間が真際に迫っている。
(あのバカ!!)
 御剣の苛立った様子に、隣に立つ係官が怯えていた。


 それから30分ほど経って、閉廷してすぐに彼は仁菜に電話する。が、出ない。書類を事務官に預けて、駐車場に急ぎ、糸鋸にも電話した。車でその場所に向いながら、何度も仁菜の携帯にかけるが、呼出し音がしばらく鳴っては留守番メッセージが流れる。御剣は最後には、携帯を助手席に放り投げた。



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